法テラスが役に立たない
この言葉の理由は何でしょうか?
法テラスは、2006年に国によって設立された公的機関で、正式には「司法支援センター」と言います。
法テラスは“全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会の実現”という理念の下に、国民向けの法的支援を行う中心的な機関として設立されました。
国が運営しているサービスにもかかわらず、
法テラスが役に立たない
という声が聞こえてきます。
「法テラスが役に立たない」という理由は、大きく2つに分けることができるのではないかと考えます。
- 法テラスのサービスを誰でも利用できない
- 弁護士が選べない
ちょっと驚きの理由ではないでしょうか?
申し遅れました。
僕は、名古屋にあるアーク法律事務所の弁護士で、鬼頭洋行と申します。
債務整理を専門に取り扱う法律事務所です。
では、弁護士だから言える話を含めて、わかりやすく解説していきます。
法テラスは無料で利用できる?それとも有料?
法テラスという制度は、誤解が多く認識されてしまっているのではないかと思います。
詳しい説明に入る前に簡単に制度を表にしてまとめます。
だれでも相談できるか? | 法テラスの利用基準を満たしている人 |
相談料金はかかるか? | 無料(相談は3回まで) |
弁護士は選べるか? | 選べない |
依頼を決めてから動いてもらえるまでの期間 | 利用審査に2週間~最大1ヶ月 |
弁護士費用はどうなるのか? | 原則償還が必要 |
【法テラスの問題点】
①利用するためには、利用基準を満たしている必要がある
②利用基準を満たした人だけが法テラスのサービスを受けられる
③弁護士を選べず、相談は3回までしか受けられないので、3回以内に依頼を決めなくてはならない
④依頼を決めても審査がある
⑤審査期間に弁護士は動いてくれない
⑥法テラスで定められた弁護士費用を償還していく必要がある
⑦法テラスを無料で利用できる人は、ごく一部の人だけ
無料で利用できると誤解されがちですが、実際には、法テラスが定めた弁護士費用を償還していく必要があります。
そして、誰でも困ったら気軽に利用できる制度ではないということが、多くの人を混乱させてしまっているかもしれません。
法テラスを利用するためには、法テラスが定めている収入要件をクリアしている必要があります。
さらに、その利用基準の中の一部の人だけが、法テラスの制度を無料で利用することが可能です。
これらを簡単に解決する方法が1つだけあります。
→あなたが選んだ法律事務所から法テラスの制度の利用申請をすることができます。
・自由に弁護士をあなたが選べる
・審査期間でも動いてもらえる可能性がある
あなたご自身で、弁護士を選ぶことができる上に法テラスの制度も利用できるという方法があります。
また、法律事務所によっては、法テラスを利用するより安く手続きできる可能性もあります。
※持ち込み方式の利用が可能かは、直接法律事務所へお問い合わせください。
では、詳しく法テラスの制度と持ち込み方式について解説していきます。
法テラスが役に立たないのは「利用に制限があるから」
〝困ったら法テラスに相談するといいよ〟
こんな言葉が世に出回っていると思います。
気軽に使っている人にとっては、何も問題がなかったのでしょう。
法テラス サポートダイヤル
利用料: 0円
通話料: 固定電話からは全国一律3分9.35円(税込)
電話:0570-078374
受付日時: 平日9時~21時 土曜9時~17時
ナビダイヤルへは、IP電話やプリペイド携帯、海外からは通話ができません。(電話:03-6745-5600)へおかけください。※オペレーターに相談はできません。
相談は面談のみ(面談時間 平日9時~17時)
※法テラスHPより引用
まず、法テラスでは、
電話相談を行っていません。
法テラスに電話をしても、収入や資産(現金・預貯金)をオペレーターに聞かれます。
一体何のために聞かれているのかというと…
つまり、国が運営してはいるけれど、万人向けのサービスではないということです。
<法テラスを利用するにあたっての条件>
- 電話で相談をきいてもらえない
→面談相談の受付のみ - 利用基準を満たした人だけが利用できる
→詳しく後述します - 立替制度が利用できるだけで無料ではない
→月5,000~1万円ほどの分割で償還が必要です - 弁護士を自分で選ぶことができない
→法テラスが紹介した弁護士としか面談できない - 審査が必要ですぐに問題解決ができない
→約2週間~1ヶ月ほど審査に時間がかかる
法テラスを利用できる人の基準について
法テラスは、一定の資産基準、収入基準を満たした方について、事案に合わせた
弁護士費用を援助(立替払い)をしてくれます。
利用するには、以下のような利用基準があります。
1人暮らしの場合、総資産が180万円以下で、手取り月収が18万2000円以下
2人暮らしの場合、総資産が250万円以下で、手取り月収が25万1000円以下
3人暮らしの場合、総資産が270万円以下で、手取り月収が27万2000円以下
1人暮らしの場合、手取り月収が22万3000円以下
2人暮らしの場合、手取り月収が30万4000円以下
3人暮らしの場合、手取り月収が33万8000円以下
2人暮らし、3人暮らしの場合の手取り月収は、2人または3人の手取り月収を合算したものになります。
法テラスの援助は費用の立替払いですので、法テラスが立替払いした費用は、月々1万円(又は5,000円)ずつ法テラスに償還(返還)する必要があります。
生活保護受給者は、原則、事件終結までの弁護士立て替え費用を猶予し、償還免除を受けられる場合があります。
また、生活保護受給者以外で、償還免除を受けるには、法テラスの基準(収入要件・資産要件・視力回復困難)をすべて満たしている必要があり、審査基準は非常に厳しい印象です。
法テラスの弁護士費用立替制度について
弁護士費用は、一律いくらと決まったものではありません。各法律事務所によって費用は異なります。
よって、法テラスでは、法テラスが定める弁護士費用があります。
あなたが利用する案件により、法テラスが定めている弁護士費用が請求されることになります。
【任意整理】
1社 実費10,000円、着手金33,000円
2社 実費15,000円、着手金49,500円
3社 実費20,000円、着手金66,000円
4社 実費20,000円、着手金88,000円
5社 実費25,000円、着手金110,000円
6~10社 実費25,000円、着手金154,000円
11~20社 実費30,000円、着手金176,000円
21社以上 実費35,000円、着手金198,000円過払金がある場合、別途、報酬金がかかります。
【自己破産】
1~10社 実費23,000円、着手金132,000円
11~20社 実費23,000円、着手金154,000円
21社以上 実費23,000円、着手金187,000円過払金がある場合、別途、報酬金がかかります。
【個人再生】
1~10社 実費35,000円、着手金165,000円
11~20社 実費35,000円、着手金187,000円
21社以上 実費35,000円、着手金220,000円過払金がある場合、別途、報酬金がかかります。
※法テラス弁護士費用より引用
これは、法律事務所が定める金額より絶対に安いとは断言できるものではありません。
中には、法テラスよりも、法律事務所に依頼した方が費用が安く済むこともあります。
次に、法テラスでは、弁護士が選べないという理由について解説します。
法テラスが役に立たないのは「弁護士が選べないから」
法テラスは、収入の少ない方にとって、とても有難い国の持つ機関と制度です。
そんな法テラスには、いろんな評判があります。
その中でも、1番気になるのが…
法テラスの弁護士は役に立たない!
と言われていることです。
なぜ、こんなことを言われているのでしょうか?
原因1:中堅以降の弁護士は多忙で、若手の弁護士に偏りがちであること
原因2:弁護士との相性の問題で、合わないことが「役に立たない」に変換されているという推測
このような原因が、法テラスの評判を下げる言葉となっているのではないかと思います。
<覚えておきたいポイント>
- ベテランの弁護士に当たる確率が少ない
- 弁護士と合わなくても、3回以内で決めなくてはいけない
- そもそも、自分で弁護士を選ぶことができない
実は、法テラスの制度を上手に活かす方法があります。
絶対おすすめしたい「法テラスの持ち込み方式」について解説します。
法テラスの利用は「持ち込み方式」で弁護士を選ぶのがおすすめ!
これまでの解説を踏まえて、どうするべきなのか?
そこには、ハイブリッドな答えがあります。
実は、
法テラスに登録をしている弁護士は多いのです。
この利用方法なら、あなたの気になる弁護士費用の立替制度を利用することもできる可能性が高くなりますね!
まず、法テラスに登録しているかを気になる法律事務所に尋ねてみましょう!
直接弁護士に相談した後に、法テラスに申請すれば、同じ条件で利用することが可能です。
無料の法律相談を行っている法律事務所は多いので、肌の合う弁護士を見つけることができます。
HPを持っている法律事務所も多いので探してみましょう!
借金の問題は、いかに早く督促を止められるか、止められないかが大きく影響します。
債務整理の場合は、即日「受任通知」を送付するので、依頼を受けた日から、支払いをストップできますよ!
任意整理を検討されているのなら、法テラスに依頼するよりも安くお手続きが可能です。
法テラスは、1~5社で135,000円
当事務所は、1社/18,000円です。
※個人再生を法テラスで利用される方はいませんが、自己破産は、法テラスの利用をした方が安いので、条件に当てはまる方には積極的に促しています!
では、法テラスのメリットとデメリットをおさらいしましょう!
法テラスを利用するメリット・デメリットについて
法テラスの利用は、利用条件を満たしているのなら積極的に受けるといいと思います。
ですが、あなたの想像通りではないこともあるので、注意点があります。
法テラスを利用する3つのメリット
法律問題に直面した人にとっては、大きな助けになるのが法テラスです。
1.専門的なアドバイスが受けられること
困ったことが起きた時、どの弁護士に相談したらいいのかわからないことが多いと思います。
法テラスなら、あなたの案件に合った弁護士、司法書士、行政書士を紹介してもらうことが可能です。
あなたのお困りの案件に合わせて、その法律事務所の特化している案件を相談するのがベストです!
2.同一案件は、3回まで無料で相談できること
初回無料と謳っている法律事務所は多いです。
ですが、2回目以降は、有料となるケースもあります。
法テラスの場合は、疑問や不安がある場合や別の弁護士に…と思った時には、3回まで相談することが可能です。
セカンドオピニオンも受け付けているので、個人事務所としては利用していただきやすいように運営しています。
3.費用の全額または一部の立替払いを利用できること
弁護士に依頼しなければならない問題を抱えていても、費用の捻出に困ると行き詰ってしまいます。
ですが、法テラスは、その費用を立て替えてくれるので、ゆっくり分割で返還していくことが可能です。
返還は、毎月5,000~10,000円程度です。
※要注意!
1:法テラスを経由した方が弁護士費用の方が高くなることもある
2:裁判所に支払う予納金など、立替払いのきかないものもある
法テラスを利用する3つのデメリット
1.申請するのに審査があり、時間がかかる
法テラスに出向いて、利用しようと思うと「審査」があります。
あなたが法テラスを利用する条件に当てはまっているかどうかの審査です。
この審査には、2週間~1ヶ月ほどかかります。
2.弁護士を自由に選ぶことができない
法テラスを利用する場合は、法テラスから弁護士を紹介してもらうことになります。
若手弁護士で不安、ベテランだけど気が合わない…できれば、信頼できると思える弁護士にお願いしたいと考えると思います。
よって、合う合わないなどを吟味しようと思っても、面談相談は3回までしか利用することはできませんし、3回目には決めなくてはなりません。
3.審査期間に動いてくれる弁護士は少ない
審査期間中でも、相談することは可能です。
ですが、審査期間ということで、支払いの目処が立っていない相談者の案件を引き受けてすぐに動いてくれる弁護士が少ないこともデメリットに挙げられます。
しかし、案件への着手を法テラスが禁じているわけではないので、引き受けてくれる弁護士がいないわけではありません。
でも、総合的に考えると、法テラスを利用して弁護士に動いてもらおうと思うと、案件の着手までに時間が掛かることが予想できます。
よって、法テラスから利用の許可が下りるまでは、
借金でお困りの方の督促を止めることができないことになります。
借金問題を解決する一手が、まず、支払いを一旦止めることです。
「受任通知」を早期に送ってくれる弁護士が見つかれば、支払いや督促から一時的に解放されます。
その期間に返済額を減らしたり、交渉、手続きを弁護士がします。
これが債務整理の意義です。
HPを見たり、直接面談に出向いて信頼できるかを判断してから、費用や民事扶助の利用ができるかなど、すべての納得をあなたがして、弁護士に依頼するかを決めることができるので、是非納得してから後悔のない手続きを進めてください。
※アーク法律事務所の場合は、ご依頼締結と共に、受任通知を債権者に送るので、ご依頼日当日より、支払い・督促をストップさせられます。
さいごに今日の記事をまとめます。
【まとめ】法律事務所から法テラスの制度を利用してみよう!
<今日のまとめ>
- 法テラスでは弁護士を選ぶことができない
- 弁護士が狙い通りに当たらないから法テラスが役に立たないと感じてしまう
- 法テラスの利用制限で民事扶助が受けられない
- 借金の督促を早く止めるなら、近くの債務整理を専門にやっている法律事務所へ行こう!
弁護士選びは、案件を左右することもあるので、その分野に強い弁護士に依頼したいと考えますよね。
そして、信頼できる弁護士に当たれば言うことないですよね。
法テラスの扶助を受けるにあたっては、法テラスから依頼しても、直接、法律事務所から依頼しても差はありません。
同じ民事扶助が受けられるのなら、あなたの選択肢は、今の時点で2つあります。
- 法テラスに相談してみる
- 法律事務所に相談してみる
経験豊富な弁護士に頼みたいと思うのなら、法テラスからスタートするよりは、気になる法律事務所に「法テラスに登録しているか」確認して、無料相談を受けてみることから始めることをおすすめします!
債務整理(借金・多重債務問題)の相談をする場合、多くの法律事務所では無料相談を実施していますので、お気軽にお問い合わせください。
あなたの問題が早期に解決することを祈っています。
<関連記事>
<債務整理をお考えの方へ>
<債務整理の注意点>
借金バレたくない!家族に言えないから無理な任意整理を選択してしまう |
任意整理ができない4つのパターンと難しい3つのケース |
個人再生が選択できないケースとは?意外な4つの落とし穴 |
自己破産ができない理由と条件があるので知っておいてください |
借金(ローン)返済途中に債務整理すると契約や商品はどうなる? |