どんなに借金問題に苦しんでいたとしても、家族に言えたら苦労しない。
あなたも言い出せない1人でしょうか?
なぜなら、借金の苦しみよりも、家族に話す苦しみの方がとんでもなく恐怖に感じるのです。
僕は、債務整理を専門に手掛けるようになって、ご家族に言えない苦しみを抱えるご相談者様を数えきれないほど見てきました。
この記事では、債務整理を相談・選択する際に起きてしまう心理面の問題と、実際の生活面での問題の両方をお話します。
この記事を読むと、借金に困った時に実際どうすることが正しいのかという弁護士目線の見解もわかると思います。
結論は、目先の家族にバレたくない一心で、
無理な任意整理を選択してしまうと、未来にはもっと困ることになりますよ!という注意喚起を含んでいます。
借金は悪いことをしているという心理が働きやすい
借金は、悪いことである。
これは、日本全体の社会で根付くものです。
でも、不思議なもので、住宅ローンや車のローンや教育ローンは、ローンを組むことが当たり前のような風潮があります。
その他の借金を持っていると、信用性に欠けるような気がしたり、だらしない人というイメージがありますね。
だからこそ、借金の所在を誰にもバレたくないという意識も働きやすくなります。
限界まで借金を隠そうとして状況が悪化していく
借金をつくってしまう理由は人それぞれです。
特に何か悪いことをしたわけではない借金でも「借金がある」という後ろめたさで、借金があることを誰にも言えない人がほとんどでしょう。
最初は、何となく借りたお金…
でも、借りた時は潤うけれど、返済の期日はいずれ訪れます。
返済すれば、残っているはずだったお金は、返済に消えてしまうので、また足りなくなります。
すると、また借入をする…の繰り返しが始まります。
そして、少しでも毎月の返済額を減らすためにリボ払いを選択することになります。
また、クレジットカードを利用すれば、
その利用可能額分の枠は、使うことのできるお金という錯覚が起きます。
お金をどうにかするために、借金で生活をまわして、騙し騙しの生活をしていくうちに…日々、利息も増えて利用枠も限界に近づいて、パンク寸前まで自転車操業を続けてしまいます。
そうしてしまうのも、自分がつくった借金を親子・夫婦間であっても言い出せずに1人で抱え込んでしまうからです。
借金がバレたくなくて、家族にも言えず精神も参ってくる
でも、どんなに頑張って、自転車操業でお財布を回していたとしても、限界が近づくにつれて、心の余裕は無くなっていきます。
そんなあなたのことを家族は知らないので、家の中では普通のフリをし続けなくてはなりません。
でも、心中は穏やかではないし、寝ても覚めても借金のことを考えている状態です。
どんどん精神的に追い詰められていってしまいます。
債務整理の相談|弁護士からの方針が受け入れられないたった1つの理由
自分の中だけではもうどうにもならないと、債務整理について調べる方がほとんどです。
すると、弁護士や司法書士事務所の存在を知って、債務整理の相談に行こうというところまで決断できる人は多いです。
僕のアーク法律事務所にも、連日「家族には言えない借金を抱えているんです」という相談を抱えて来所されます。
しかし、僕も同じように頭を抱える事態となってしまうことが非常に多いのです。
借金がバレたくない一心で弁護士からの方針を拒絶
僕は、債務整理を専門に手掛ける弁護士をしています。
ネット情報が普及したので、多くの方は下調べをした上で「任意整理をお願いします」とやって来ます。
相談者様には、現在の収入と支出のバランスを面談でお聞きしています。
いくらくらいなら返済できそうかをまず尋ねるのですが…
毎月の返済できそうな金額をお伺いすると、任意整理ではとても返済できそうもないという結論がすぐに出ます。
そうです。借金の状況は、本当に悪い方向に進んでからご相談にいらっしゃるのです。
そこで、状況に合わせて、個人再生や自己破産のご提案をするのですが、どんなに良案だと思っていただけたとしても…
その手続きに必要になる家族の源泉徴収票や家計収支表が必要になるという問題に直面して、「それは飲めません」となります。
源泉徴収票が欲しいと急に言い出したら、怪しまれてしまいます。
家計収支表についても、同じです。
1円単位でつけなければいけないので、何となくではいけません。
任意整理だと、毎月15万円以上の弁済額
個人再生を選択すれば、毎月6万円まで下げることができるとわかっていても、個人再生を選択することができないのです。
なぜなら、
家族に言わなければならないなら無理だ…そう考えてしまうのです。
無謀な任意整理を選択してしまう
この図のように、相談者様にとっては、究極の選択を突き付けられているように感じてしまいます。
家族に話すくらいなら、無謀だろうが任意整理の支払いの方がマシだ。
そう感じてしまうのです。
相談者様の頭の中にあるのは、この天秤と同じで、「借金を家族に話すこと」と「家族に内緒にしたまま任意整理の支払いをすること」を比較するのです。
任意整理では、利息のカットしかできませんが、それでもこれまでの支払額よりは、毎月の支出は抑えられる可能性があります。
苦渋の苦渋の決断だということは僕も理解しています。
無理な任意整理をした結果起きること
弁護士は、相談者様に方針を強要することはできません。
相談者様が「任意整理をする」と決めれば、お受けします。
しかし、前述した通り、毎月の返済できる能力オーバーな金額を返していくことはできません。
しかも、任意整理後は、これまでと違って、信用情報機関にも事故情報として登録されるので、どこかからお金を工面することができなくなります。
よって、
この任意整理の弁済もすぐにできなくなります。
本当に絶望を感じるまで、家族には言えない。
そんな気持ちを相談者様は抱えているということです。
それを見て、僕もいつも胸が痛いのです。
僕がどんなに説得を試みても、家族に借金のことを話す方が大きな抵抗があると認識しているため、こういったケースは非常に難しい問題なのです。
だから、僕は待つことをします。
借金は家族に知られたくないが、任意整理後に限界を感じたら…
本当は、弁護士費用も余分にかかってしまうので、一度で本当の解決に向けて決意できるといいのですが、家族に言えないという気持ちは僕も人ですから、よくわかります。
でも、この任意整理で弁済ができないことに気づいたら、個人再生または自己破産を検討するしかありません。
その時は、まず、勇気をもってご家族に話をしてください。
そして、ご相談にお越しください。
無謀な任意整理をした後でも、僕はあなたを責めたり、否定したりすることはありません。
あなたの心の準備の大事なステップだったと僕は受け止めています。
ですから、安心してお越しください。
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