- クレジットカードで買ったもの
- パソコン
- 家電製品
- 脱毛ローン
- 美容ローン
- 楽器
- ペットローンなど
今ある契約や商品はどうなってしまうのか?という心配がありますよね。
その心配ごとの答えを分けるのは
「所有権留保」という規約があるか、ないかです。
債務整理を検討している方にとって、「ローンで購入した商品がどうなるのか?」という不安は大きなものです。
特に、自己破産や個人再生を行った際に、所有権留保が設定された商品が引き上げられるかどうかは、知っておくべき重要なポイントです。また、任意整理でも場合によっては、商品が引きあげられてしまうこともあります。
この記事では、ローンで購入した商品が引き上げられる仕組みや対処法について詳しく解説し、債務整理をしても大切なものを守るための情報をお届けします。
また、「クレジットカードで買ったもの」や「手元にない商品」、ローン購入したけど「楽器」や「ペット」についても触れ、実際にどのような対処ができるか説明していきます。
債務整理後の商品引き上げについて不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ローン契約には「所有権留保」という規約が設けられている
「所有権留保」とは
商品などを分割で購入した時、売主が買主に商品を渡した後でも、支払いが残っている限りは、その商品の所有権は、売主にあるということです。
債務整理を行う際に最も重要なキーワードが「所有権留保」です。
ローンで商品を購入した際、購入者がその商品を手にしていても、ローンの支払いが完了するまで販売者側がその商品の所有権を保有する仕組みです。
つまり、ローンの返済が滞ったり、任意整理、自己破産や個人再生を申請した場合、所有権を持つ販売者が返済できないことを知り、対象の商品を引きあげて、お金に換えるために返還を求めるケースがあります。
返還を求めるかは、販売者の意向によるため、どんな商品でも必ず引きあげられるとは限りません。
債務整理の案件をたくさん取り扱ってきたからこそ、その経験からお答えできることをお話していきます。
「所有権留保」で起きることは、商品の引き揚げ
「所有権留保」が適用されると、ローンの返済ができなくなった時点で商品が引き上げられる可能性が生じます。これは、自己破産や個人再生をした場合でも同様で、特に高額商品やクレジットカードで購入した商品には注意が必要です。
「所有権留保」というのは、どういったものに付いているものなのでしょうか?
かなり、ありふれたものすべてに付いていることを知っていますか?
- 書面で交わすローン契約
- クレジットカード決済
日常生活で、使用したことがあるであろうものすべてです。
「買ったモノ」だと思い込んでいるだけで、実は、「自分に所有権の無いモノ」ってたくさん家の中にあるかもしれません。
特に、今の時代は、スマホを割賦契約で買うのは主流です。
キャリア決済の場合は、所有権留保はありませんが、iPhoneなどのアップルストアでペイデイなどを使って割賦契約をした場合には、所有権留保の問題で、債務整理を行うと返還を求められるケースが多いです。
車も、ローンや残価設定型ローンで契約する人が大半です。
自分の目の前にある、日常生活で何気なく使ているものですが、実は、所有権が「自分にない」ものがあるということを知っておいてください。
「所有権留保」が付いているものとは
「所有権留保」が設定される商品には、通常以下のようなものがあります。
所有権留保の定番商品
ローンの支払いが完了しない限り、法的にはこれらの商品を所有しているのは販売者側となります。
・マイホーム
・車(特にローンやリース契約の場合)
この2つはイメージしやすくないですか?
支払えなくなったら、マイホームなら競売にかけられるとか、車は、引き揚げられてしまうとか…
これは割と有名な話です。
所有権留保でイメージのない分割購入の定番品
楽器やファッション用品なども、分割払いで購入した場合には所有権留保が設定されることがあります。「楽器」や「高級時計」など、意外と高価な商品も注意が必要です。
・パソコン、スマホ、タブレット
・家具家電
・貴金属
・ブランド品
・ペット
・楽器(高額なピアノやギターなど)
ほんの一例ですが、分割購入の定番品とも言えますよね。
この「所有権留保」というイメージのない上記のものは、
返済不能または債務整理をすることによって、引き揚げの対象となる場合があります。
<関連記事>
【よくある債務整理の質問】ペットだけは手放せない、どうにかしたい
引き揚げる対象になるものとならないもの
商品が引き上げられるかどうかは、その商品の購入方法や契約内容に左右されます。
例えば、ローン契約に基づく所有権留保がある商品は引き上げ対象となりますが、現金一括払いで購入した商品や既にローンの返済が完了している商品については、引き揚げの対象外です。
スマホ・タブレット
各キャリアで割賦を組んだ場合は、引き揚げの対象にはなりません。
オリコ、ペイデイなどのショッピングローンを組んで購入した場合は、引き揚げの対象となります。
クレジットカードのリボ払い
引き揚げられるというケースはあまり聞きません。
書面契約したローン
引き揚げられるケースが多いです。
ただし、実際に引き揚げるか、引き揚げないかは、債権者次第になります。
債権者によっては、引き揚げる手間賃を考慮して引き揚げない場合もあるようです。
実際にどのように引き揚げられることになるのか…
実際に引き揚げられる流れ
1.弁護士が依頼を受けると、債権者に受任通知を出すことになります。
2.受任通知を受け取ると、債権者はすぐに所有権留保の対象となっているものを返還するようにと、法律事務所に連絡が入ります。
3.相談者に返還の伝達をします。
4.相談者は、指定された住所へ梱包して送ることになります。
補足、債権者の判断による部分もあるので、場合によっては、上述した商品であっても返還を求められない場合もあります。
しかし、債権者や販売者の判断次第と言っても、ローン契約で購入したものについては、支払えなくなった時点で、債権者に引き揚げられることになると覚えておく方が賢明です。
引き揚げ対象の商品が手元にない場合
引きあげ対象の商品があるということは、その商品には「所有権留保」が付いているということです。
つまり、その商品は、あなたの物ではなく、”他人の物”です。という表現をすると、シンプルで分かりやすいと思います。
他人の物を勝手に売ってしまったり、捨ててしまったり、失くしてしまうことは問題ですよね。
商品が手元にない場合に引き上げることは現実的にできません。
手元に商品がない場合、所有権を持っている債権者からは、その商品を「いつ頃、どこで、どうしたのか」と質問されます。万が一、売却してしまった場合には、その価格がいくらだったのかまで説明を求められる可能性があります。
仮に自己破産をした場合には、換金行為に該当したり、債権者は、損害賠償請求をすることもあるかもしれません。最悪、非免責債権になる可能性もあるため、担当の弁護士と十分ご相談ください。
次に、サービス系のローンについて説明します。
サービス系のローンは、規約次第で結論が変わる
サービス系のローン、例えばエステローンや医療ローンなども債務整理の影響を受けます。しかし、これらのローンは商品の引き揚げが発生しないため、規約次第で処理方法が変わります。
エステローン・医療ローンなどのサービス系のローンの実態は個々それぞれ
エステや医療などのサービスに対するローンは、商品とは異なりサービスを既に受けているため、引き揚げの対象とはなりません。しかし、サービスを受けた分の料金は支払う義務が発生します。
サービス系のローンの一例
・エステ
・脱毛
・痩身
・増毛
・歯の治療
・整形
いろんなサービスを提供する場においても、ローン契約というものは存在しています。
主に美容に関したローンが多い印象です。
しかし、こういったローンに定義というものがありません。
個別にエステサロンなどが分割利用を設けている場合もあり、必ずしも信販会社が間に入っているとも限りません。
債務整理をした場合、残りの回数券が利用可能かどうかは、あなたが契約した規約により決まります。
債務整理後にローン契約が一定期間できなくなることを覚えておこう
債務整理後は、新たなローン契約が一定期間制限されることも知っておくべきです。自己破産や個人再生を行った後は、通常5〜7年間は新しいローンやクレジットカードの契約ができなくなることが多いです。
債務整理をすると、ブラックリストに登録されることになります。
その期間は、5~10年です。
この間は、信用情報機関に事故情報として登録されているので、一般的なローン契約はすべて組めなくなります。
例えば、債務整理をしたことで、生活の余裕が生まれ、自分にもお金をかけようと思って、エステサロンい行ったとします。
そこで、気に入ったコースがあったけれど、一括は厳しいから、分割で…
ということができなくなります。
債務整理後は、事故情報が消去される時まで、ローン契約ができず、一括で購入するようにしていかなくてはなりません。
ですが、借金を持って、積み重ねてしまった過去があるわけですから、
これからは…
本当に必要なものなら、
一括で買おう!!
と、前向きになっていただければ、弁護士として嬉しいことはありません。
詳しくはこちらをご覧ください。
ブラックリスト(信用情報機関)事故情報の登録期間はどのくらい?
【まとめ】自分の持っているローン契約の中身が債務整理後の方向性を決める
債務整理を考える際には、まず自分のローン契約の詳細を把握し、どの商品が所有権留保の対象となっているかを確認することが重要です。
債務整理をしても商品を守るためには、早めに弁護士に相談し、適切な対応を取ることが求められます。
クレジットカードで購入した商品なども含めて、商品引き揚げのリスクを把握し、最善の解決策を見つけましょう。
「所有権留保」になっている場合は、仕事で使うものとか、生活必需品だというあなたの心情は通じません。
所有権を持っている側が「引き揚げます」と言えば、渡さなければいけないことを覚えておいてください。
<債務整理をお考えの方へ>
債務整理とは何のこと?わかりやすく図解を使って説明します! |
【債務整理】弁護士と司法書士の違いや費用について |
債務整理|弁護士の選び方「3つの失敗しない重要ポイント」 |
弁護士費用の比較|債務整理の費用の相場はどのくらい? |
債務整理の相談時に必要なものは?弁護士が1番教えて欲しいこととは… |
債務整理のおすすめの手続きは?自分に合う方法の選び方 |
自己破産・個人再生|弁護士に相談前の事前準備・知識について |
<債務整理の注意点>
借金バレたくない!家族に言えないから無理な任意整理を選択してしまう |
任意整理ができない4つのパターンと難しい3つのケース |
個人再生が選択できないケースとは?意外な4つの落とし穴 |
自己破産ができない理由と条件があるので知っておいてください |
借金(ローン)返済途中に債務整理すると契約や商品はどうなる? |