弁護士に依頼したあと、最初にぶつかる「書類集めの壁」
「借金問題の解決のために、思い切って法律事務所に依頼した!これで一安心!」 と、ホッとされる方はとても多いです。しかし、弁護士にお金を払って依頼すれば、それだけで自動的に自己破産や個人再生ができるわけではありません。
次に待っているのが、裁判所に提出するための膨大な「添付書類」を集める作業です。
平日は朝から晩まで仕事をしていて、書類集めに充てられる時間は土日しかないというサラリーマンの方もたくさんいらっしゃいます。もちろん、大半の書類は土日や郵送、ネット(マイナンバーカードなど)で揃えることができます。
しかし、自己破産や個人再生の手続きにおいて、どうしても土日だけでは無理で、「平日の昼間」に動かなければならないケースが2つ存在します。
知らずに後回しにしていると、手続きのタイムリミットを過ぎてしまう危険もあります。今回は、なぜ平日が必要になるのか、その具体的な理由と対策を、アーク法律事務所の弁護士鬼頭が分かりやすく解説します。
理由①通帳に「一括記帳(合計記帳)」の文字がある場合
自己破産でも個人再生でも、あなたが普段使っている預金通帳の過去1年分(裁判所によっては2年分)の取引履歴を、1ページも隠さず丸ごと提出する必要があります。
ここで非常によくある問題が、通帳の「一括記帳(または合算)」という表示です。
数ヶ月の間、通帳を記帳しないまま一定件数(銀行によって異なりますが30〜50件以上)の取引がたまると、銀行側が自動で「合計 〇〇円」と1行にまとめて記帳してしまいます。
これがあると、裁判所から「この一括でまとまっている期間、一体何にお金を使ったのか、中身が分からない」と厳しく突っ込まれてしまいます。そのため、その期間の「取引履歴明細書(出入金明細)」を銀行でわざわざ発行してもらわなければなりません。
また、実務上で特に注意が必要なのが、「あなた名義のすべての口座が対象になる」という点です。 今メインで使っている口座だけでなく、昔作ったきりずっと使っていない口座や、残高がほぼゼロのまま放置している休眠口座であっても、すべて裁判所への報告義務があります。そういった口座も、「ずっと動いていない(放置されている)という証明」をするために、最新の状態まで記帳を完了させるか、明細を発行しなければなりません。
これらの取引履歴明細書の発行や古い通帳の確認は、平日の朝9時から午後3時までに銀行の窓口へ足を運ぶ必要があります。銀行の窓口は土日祝は完全に閉まっているため、こればかりは平日の昼間に時間を作るしかありません。
※日頃からすべての口座をこまめに通帳記帳を行っている方や、ネットバンキングで過去1〜2年分の全履歴をPDFで出せる状態であれば、この問題はクリアできます。
理由②車の価値を証明する「査定書」が紙でもらえない場合
自己破産や個人再生では、あなたが持っている車に「今どれくらいの価値(財産としての価値)があるか」を証明する書類を出す必要があります。
ネット上の解説には「中古車買取店で査定してもらえば大丈夫」と簡単に書かれていることが多いですが、ここに実務上の大きな問題があります。
土日に一般的な中古車屋さんを何軒か回っても、「査定は無料でやりますし、今なら30万円です!でも、金額は口頭で伝えるだけで、査定書として『紙の書類』を出すことはできません」と断られてしまうケースが後をネット上に絶ちません。お店側としては、売る気がないのに書類だけ持っていかれるのを嫌がるためです。
何軒回っても紙の査定書がもらえず、最終的にやむを得ず頼ることになるのが「JAAI(日本自動車査定協会)」です。
ここに依頼すれば、裁判所が100%納得する公的な査定書を発行してくれますが、この自動車査定協会が受付をしているのは、平日の午前9時から午後5時まで(土日祝は休み)です。車を保有していて、お店で書類をもらえなかった場合は、平日のスケジュール調整が不可欠になります。
※最初から車を持っていない方や、年式が10年以上経っていて明らかに価値がゼロ(処分価値なし)と判断できる軽自動車などの場合は、査定書自体が不要になるケースもあります。
まとめ|有給を1日取って、手続きに動くことをおすすめします
自己破産や個人再生の書類には、多くの場合「発行から3ヶ月以内」といった厳格な有効期限(タイムリミット)があります。
「仕事が忙しくて平日はどうしても休めないから」と、この2つの理由を放置したままダラダラと時間が過ぎてしまうと、せっかく集めた他の書類の期限が切れてしまい、すべての準備が水の泡になるという最悪の悪循環に陥ってしまいます。
そうなる前に、最短ルートで動くことが何よりも大切です。
せっかく、自己破産や個人再生をしようして、生活再建しようと思ったのですから、有休を1日会社にお願いして、頑張って書類集めをしましょう。
その他、ご不明点等ございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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