借金の返済が苦しくて債務整理を考えているけれど、毎日の通勤や子供の送り迎えに車が絶対に欠かせないから、車を手放したくない…
債務整理を検討する際、多くの方が最も頭を抱えるのが「車のローン」との兼ね合いです。 すべての借金が整理の対象になる「自己破産」や「個人再生」を選ぶと、ローン返済中の車は「所有権留保(ローンの完済まで会社に所有権がある契約)」やリースの規定によって、原則としてローン会社に一発で引き揚げられてしまいます。
そのため、ネットの情報を調べると「車を残したいなら、整理する業者を選べる『任意整理』の一択!」という解説が溢れています。
しかし、「任意整理を選べば絶対に車を残せる」と思い込むのは非常に危険です。
知らずに突き進むと、結局車を失ったり、数年後に家計が完全に破綻したりする『2つの致命的な罠』があります。
今回は、車のローンを抱えたまま任意整理を選択する際の注意点と落とし穴を、アーク法律事務所の弁護士鬼頭が分かりやすく解説します。
罠①同じ信販会社の盲点!「車だけ手続きから外す」ができない?
任意整理の最大のメリットは「この業者は整理するけれど、この業者は今まで通り払う」というように、対象を選ぶことができる(整理対象の自由選択)点にあります。
そのため、「消費者金融やカード会社だけを任意整理して、車のローン会社だけは外して払い続ける」というのが大きなメリットです。
しかし、ここに最大の落とし穴があります。
同じ信販会社・グループ会社の罠
任意整理しようとしている「クレジットカードのキャッシングやリボ払い」の会社と、あなたが「車のローン(ディーラーローン)」を組んでいる会社が同じ信販会社(例:オリコ、ジャックス、セディナ、ライフカードなど)であった場合、車のローンだけを都合よく手続きから外すことは原則としてできません。
銀行のマイカーローンであれば別ですが、多くの自動車ディーラーで組むローンは大手信販会社が裏で契約を担っています。
同じ会社からカードも車のローンも借りている場合、その会社に対して「リボ払いだけを任意整理して、車のローンは手続きから外して今まで通り払い続ける」という住み分けは認められません。その会社を任意整理するなら、車のローンも強制的にワンセットで手続きに巻き込まれてしまうため、結果として車を手放す(没収される)ことが避けられなくなってしまいます。
もし「車のローンとカード、両方を今のまま払い続けるのは絶対に無理」という状況であれば、そもそも任意整理という選択肢自体が難しくなってしまいます。
また、自分の車のローンがどこの会社名義になっているかを弁護士にチェックしてもらうことで、あなたの場合、任意整理が向いているかどうかをお答えすることができます。
さらに、どの重圧に対して、任意整理をするべきか、しない方がいいのか、はたまた、別の手続きを選択した方がいいのかを一緒に考えることができます。
罠②現実は「5年分割」が認められないケースと返済の厳しさ
もう一つの罠は、幸いにもカード会社と車のローン会社が全くの別物で、車のローンを外して他の借金だけを任意整理できた場合に起こる、金額と条件のシビアな現実です。
ネット上では「任意整理は元金を5年(60回)の分割にできる」と簡単に書かれがちですが、誰もがこの条件で和解できるわけではありません。任意整理を認められるかどうか、そしてどのような条件になるかは、あなたのこれまでの返済経歴(これまでにきちんと遅れずに返してきたか、一度も返さないまま滞納したかなど)に大きく左右されます。
さらに、最近は債権者の対応も非常に厳しくなっており、以下のような条件を突きつけられるケースが激増しています。
- まとまった「頭金」の支払いを求められる
- 将来利息の全額カットを拒否され、利息を乗せられる
- 返済期間の短縮(5年ではなく、3年・36回払いなど)を求められる
もちろん、任意整理をすれば、カード会社への返済は現状よりは楽になります。
しかし、車のローン(例:毎月3万円)をこれまで通り支払い続けながら、さらに任意整理で決まった毎月の返済額を、これから長期間にわたって1ヶ月の遅れることなく、欠かさず払い続けなければなりません。
「車を失いたくないから」という理由だけで無理やり任意整理を進めると、常に生活苦の兆しが見え隠れし、あとで首が回らなくなって債務整理の再検討(結局、自己破産などへの切り替え)をしなくてはならなくなるリスクがあります。
まとめ|だからこそ、5年間の生活を見据えて「最善の選択」を!
それでも、仕事や家族の生活のために「車が引き揚げになるのはどうしても困る」という場合、リスクを承知の上で任意整理にするしかない、という局面は確かに存在します。
その場合、困るのは、ご相談者様ご自身です。僕は単に手続きを進めるのではなく、「本当に5年間払い続けられるか」をご相談者様と一緒にトコトン考えたいのです。
奥様や親族の名義で新たな安い中古車を購入することはできないか、代わりとなる移動手段や車の手当てができないかどうか、まずはあらゆる可能性を一緒に模索します。それでもどうにもならないという場合は、車を残すために任意整理を選択することになります。
現状よりは月々の支払いは楽になりますが、果たして5年間、何があっても毎月毎月欠かさず払い続けられるのか…。
そんな疑問や不安を心に抱えながら任意整理をすることになるので、どうしても気持ちがすっきりしない債務整理になってしまうのも事実です。
だからこそ、弁護士と一緒に納得いくまでシミュレーションをして欲しいと思っています。
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任意整理という方法がベストなのか、他の手続きが使えるのかを一緒に考えてみませんか?
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