会社と代表者の住所が違う場合、裁判所も別々になってしまうの?
- 事業資金の繰り回しが限界になり、会社(法人)の破産と社長個人の破産を同時に検討している
- 会社の事務所は名古屋市にあるけれど、代表者である自分の自宅は一宮市にある。この場合、破産の手続きは別々の裁判所で行うことになるのだろうか?
法人(会社)が破産する場合、代表者(社長)が会社の借入金の連帯保証人になっていることが多いため、「会社と社長が一緒に破産を申し立てる」のが一般的な実務の流れです。
また個人破産でも、主債務者と連帯保証人、あるいは夫婦で一緒に破産を進めるケースは少なくありません。
結論から申し上げます。
会社と代表者の住所が異なっていても、あるいは保証人や夫婦が別の場所に住んでいても、法律上の特例によって「同じ裁判所にまとめて申し立てる」ことが可能です!
今回は、法人破産や複数人で破産する場合の「申立先裁判所(管轄)」のルールと特例、そして「こうしたケースで後悔しないための弁護士の選び方」まで、アーク法律事務所の弁護士鬼頭が分かりやすく解説します。
原則ルール|破産手続は「本店所在地」や「住所地」の地方裁判所
まず基本のルールとして、破産の手続きはどこでも好きな裁判所に申し立てられるわけではありません。原則として以下の地方裁判所が担当(管轄)となります。
法人の場合
主たる営業所の所在地(本店所在地)を管轄する地方裁判所
個人の場合
申立人の住所地(生活の拠点)を管轄する地方裁判所
ケース別|住所が違う場合の管轄特例と申立先
では、会社と社長の住所が離れている場合や、遠方に住む家族・保証人と同時に破産する場合はどうなるのでしょうか?
ケース①法人と代表者(社長)が同時に破産する場合
【具体例】 会社の本店は名古屋市(名古屋地裁)、社長の自宅は一宮市(名古屋地裁一宮支部)
原則通りに考えると「会社は名古屋地裁、社長は一宮支部」と別々になりそうですが、これでは手続が煩雑になり、裁判所や破産管財人の確認作業も二重になってしまいます。
そのため法律上、「法人の管轄裁判所(名古屋地裁)へ、代表者も一緒にまとめて申し立てることができる」という特例が認められています。
※なお、先に社長個人が破産を申し立てた後に会社を申し立てる場合は、先に申し立てた個人の裁判所が管轄となります。
ケース②主債務者と連帯保証人が同時に破産する場合
【具体例】 借金をした本人(Aさん)は名古屋在住(名古屋地裁)、連帯保証人のBさんは東京在住(東京地裁)
この場合、それぞれの地元の裁判所に個別に申し立てることも可能ですが、「どちらか一方の裁判所(名古屋地裁または東京地裁)に、AさんBさん一緒に申し立てる」ことが認められています。
保証人とのやり取りや書類準備をスムーズに進めるため、より都合の良い方の裁判所を一つ選んで同時に進めることができます。
ケース③夫婦で同時に破産する場合
【具体例】 単身赴任中の夫は名古屋市(名古屋地裁)、自宅にいる妻は東京都(東京地裁)
夫婦で一緒に破産手続きを行う場合も特例が適用されます。夫の管轄である「名古屋地裁」または妻の管轄である「東京地裁」のどちらか一方の裁判所に、夫婦まとめて申し立てることが可能です。
住所や管轄が異なる場合「どんな弁護士に相談すべき?」
「申立先の裁判所は分かったけれど、結局どこの、どんな弁護士に相談するのが正解なのだろう?」
実は、管轄について調べる方が一番知りたいのはこの点ではないでしょうか。
意外に知られていませんが、お医者さんに「内科」や「外科」があるように、弁護士にもそれぞれ「得意分野」と「不得意分野」が存在します。
いくら法律のプロであっても、離婚問題や交通事故に注力している弁護士と、日常的に債務整理や破産案件を扱っている弁護士とでは、手続きのスムーズさが全く変わってきます。後悔しない弁護士選びのために、以下の3つのポイントを意識してみてください。
①「債務整理・法人破産」に注力し、管財事件を何度も扱ってきた弁護士
法人破産や管財事件(手持ちの資産整理が必要な破産)は、提出書類の量や裁判所・破産管財人との交渉が非常に複雑です。離婚や交通事故ではなく、日頃から「債務整理・法人破産」に注力し、管財事件の申立て経験が豊富な弁護士を選ぶことが大前提です。
② 地元・近郊エリアの「裁判所の運用・ローカルルール」を知り尽くしている弁護士
裁判所の手続きや管轄の特例運用は、各地の地方裁判所ごとに細かな「ローカルルール(実際の運用方針)」が存在します。例えば、当事務所のように名古屋に拠点を置きながら、愛知県内はもちろん、近郊の県の裁判所の運用まで熟知している弁護士であれば、無駄な差し戻しや遅延を防ぐことができます。
③ 法人・代表者の破産を「セットで一括サポート」してくれる弁護士
会社と社長の資産や借金は複雑に絡み合っています。知識が乏しい事務所だと「別々に申し立てましょう」と無駄な費用や手間を発生させてしまうことも。経営者個人の第二の人生(再スタート)まで見据え、一括でスムーズに引き受けてくれる事務所を選びましょう。
経営者の皆様へ大切な注意点
お金が底をつく前にご相談を!
法人破産は、裁判所に納める予納金や諸費用がかかるため、個人破産に比べて、どうしても費用がかさむケースが多くなります。
会社のためにと、ギリギリまで粘って資金が完全に底をついてしまうと、破産手続きを進めること自体が難しくなってしまいます。
「もう少し頑張りたいけど、先行きが不安だ…」と、少しでも不安を感じた時点で、弁護士に相談だけでもしておくことを強くおすすめします。
相談に来たからといって、そこで依頼しなければならないわけではありませんので、ご安心ください。
まとめ|手続きの疑問も弁護士選びは、債務整理に注力した弁護士へ
破産手続きにおける「管轄(どの裁判所を使うか)」は、一見複雑に思えますが、基本的には「一番スムーズに進められる裁判所にまとめて進める特例」が用意されています。
- 法人と社長の破産は、法人の管轄裁判所にまとめて申し立てられる
- 保証人や夫婦が別々に住んでいても、どちらか一方の裁判所にまとめられる
- 弁護士にも得意・不得意があるため「債務整理・法人破産に注力し、地元の裁判所の運用を知っている弁護士」に相談するのが一番確実
- 法人破産は費用がかさむため、資金がゼロになる前の早めの相談が大切
経営者の方にとって、会社の清算と個人の再出発を同時に進めるのは、精神的にも大変な負担がかかるものです。だからこそ、「どの裁判所に申し立てるか」「どう手続きを進めるか」も含めて、実務経験豊富な弁護士に丸ごと任せていただくのが一番安全です。
会社と社長個人の破産は、同じ裁判所でセットで進めるのが鉄則です。アーク法律事務所では、名古屋地裁をはじめ愛知県内や近郊エリアの裁判所の運用を知り尽くしていますので、破産管財人との調整や書類の準備も最小限の負担で進めることができます。
会社をたたむことは「終わり」ではなく、あなたが第二の人生を身軽にやり直すための「再出発」です。僕は、これまで頑張ってきた経営者の方が前を向いて新しいスタートを切れるよう、全力で伴走します。
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