現代では、離婚する人は珍しくなく、養育費を支払う立場になった人は多くいます。
法律上、離婚をして、子供の親権や監護権を持っていなくても、子供の扶養義務は消えることがありません。
しかし、現実には収入が追いつかず、養育費が生活を圧迫してしまう状況に直面する人も少なくありません。仕事の変動や予期せぬ出費など、さまざまな理由で、毎月の養育費を払うことが困難になる場合があります。
養育費の平均相場は、5万円です。
あなたが取り決めた養育費の額はわかりませんが、以下の理由を抱えて相談にいらっしゃる方が多いです。
- 養育費が高くて生活が苦しい
- 仕事が上手くいかない、収入が減少した
- 養育費を借金してまで払わなければいけないのか?
- 再出発ができない、二重生活の負担
- 生活費の増加で養育費の捻出が難しい
- 借金があって養育費の捻出が難しい
上記のこと以外にもいろんなお悩みがあると思います。
あなたにもあなたの事情がありますよね。
「一体どうすればいいのか…」と悩むことだと思います。
そんな時、焦らずに対処するためには、具体的な解決策を知ることが大切です。
この記事では、養育費が生活に負担をかけすぎている時に取れる対策について詳しく解説していきます。
払えないと感じた時こそ、適切な行動を取り、生活を守るための一歩を踏み出しましょう。
養育費が重荷となる現状について
毎月の養育費が、
あなたの生活を圧迫していませんか?
家賃や光熱費、食費が重なる中で、養育費の支払いが大きな負担になっていると感じている人も多いでしょう。
昨今では、光熱費が高騰し、真夏のエアコン、真冬の暖房代の工面に苦戦するだけでなく、食材の高騰も止まらず、生活費の圧迫は止まりません。
給料が変わらなくとも、生活費の負担割合は増しているのが現状です。
その上、収入が減ったり、予期しない出費が続く中で、毎月の養育費がどうしても払えなくなるケースは少なくありません。仕事をしても生活がままならない現実に、将来への不安も募りますよね。
また、突然の医療費や子どもの進学などで養育費とは別の援助が必要で予定外の出費が重なれば、養育費の支払いがさらに困難になることもあります。
このような状況を抱えていると、クレジットカードが頼りの綱になっていたり、キャッシングを重ねてしまうことも十分考えられます。
養育費が払えない時に借金を重ねてしまうと、より、養育費が払えない状況に陥ることになります。
養育費を放置してしまうと、別れた配偶者側から、裁判所を通して「支払命令書」が届いたり、給与などの差し押さえを受けてしまうことになります。
もしも、給与の差押えを受ければ、最大で給与の1/2を差し押さえられてしまうので、生活が成り立たなくなることも否めません。
アーク法律事務所の弁護士として、あなたの問題を一緒に考えていきたいと思います。
養育費の概要と重要性
養育費を払わない人もいると囁かれていますが、それは、養育費に対する知識が乏しいせいかもしれません。
養育費について、わかりやすい言葉で以下にまとめます。
養育費とは
離れて生活しても親には子どもを養育する義務があります。
これに基づき、養育費の未払いは、民法上の債務不履行に該当し、裁判所への申立てにより、給与や預金などの差押えが可能となります。
つまり、血のつながりのある子供の生活を保持するために支払わなければならない義務とされているお金のことです。
例えば、あなたが元夫ならば、別れた妻にではなく、子供のために支払っていくお金のことです。
どうしても、支払先が元妻の口座になっており、あなたからすれば、元妻に支払っている感覚が強くなり、そのお金がどのように使われているのかも見えにくいので、単なる支払いのように感じてしまいがちです。
ネット情報などを見て、踏み倒す人も多い印象を受けるかもしれませんが、給与の差し押さえなどの強制執行ができてしまうものです。
ネット情報だと、未払いで訴訟されているという話まで聞こえてこないかもしれませんが、実際は、公正証書があれば、即強制執行ができます。
何度も繰り返しますが、養育費は、法律で決められている子どもが育つための権利です。
支払えないまま放置してしまうと、遅延損害金も発生し、あなたが支払う養育費の額も増えます。さらには、面会制限を受けるなどのリスクも伴います。
よって、元妻との折り合いも悪く、養育費の滞納がある場合、裁判所に強制執行や差押えの申立てをされてしまうことにもなりかねません。
養育費の強制執行や差押えについて
養育費の滞納は、民法上の債務不履行にあたります。
そのため、裁判所に養育費の強制執行を申し立てることが元配偶者にはできます。
強制執行をするためには、判決が必要となりますが
- 離婚協議書
- 離婚調停調書
- 離婚判決
- 強制執行認諾条件付きの公正証書
上記に該当する証書を作った覚えがある場合は、元配偶者は、いずれかの証書を持参し、裁判所に出向き、申立書を書くだけで強制執行の手続きが簡単に取れてしまいます。
その後、裁判所から支払命令書が届き、強制執行が確定してしまうと給与の差押えなどを受けることになります。
給与の手取り額(税金や社会保険料等を控除した額)の2分の1まで
最大で、給与の2分の1まで差押えが可能なため、滞納状態にある方には非常に大きなダメージを受けることになります。
令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告より
令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(R3.11.1)によると、ひとり親世帯は、130万世帯を超えています。
全体の母子世帯の50%弱が養育費の取り決めをしています。
そのうち80%は、強制執行認諾条件付きの公正証書を作成しています。
全体の父子世帯では、30%弱が養育費の取り決めをしており、そのうち70%が強制執行認諾条件付きの公正証書を作成しています。
実際の受給状況は、
母子世帯が28.1%
父子世帯が8.7%
と、養育費を受け取っている世帯の方が少ないと出ています。
裏を返せば、別れた夫の70%、妻の90%は、養育費の請求を受けていると言えるかもしれません。
また、養育者側の困っていることの1位は「家計」であり、次いで「自分の健康」と答えています。
これは、元配偶者だけが困っているのではなく、あなたの大切なお子さんも同時に困るかもしれないことです。
以上のことから、養育費の支払いは重要であることと、その支払いによって、養育費の支払者側が困窮するという事態が起こることがわかります。
では、養育費の捻出が難しい時にどうすればいいのかを1つずつ考えていきましょう。
養育費の捻出が難しい時の生活費の見直し方
これまでは、養育費の概要の話でした。
次は、あなたの状況について考えてみましょう。
あなたは、どの支払いが1番苦しいのでしょうか?その原因は、以下にあるでしょうか?
- 養育費以外に借金がある
- 養育費の圧迫で借金をしている
- 収入が減ったことで養育費が払えない
- 再婚により生活を圧迫されている
単純に養育費の額が大きくて、毎月支払うのが大変な場合は、減額交渉をしてみるのも1つの手です。
稀に基準以上の養育費を支払っている場合もありますし、状況の変化で養育費の減額が可能なこともあります。
養育費と借金を抱えているケース、収入が減ってしまったケース、再婚に伴う扶養義務者が増えたことによる困窮と大きく3のケースに分けて考えることができます。
①現在の収入から養育費を差し引いて、生活費が捻出できているかを考える
無駄な支出がある場合は、控える、副業をして収入を増やすことが必要かもしれません。
これまでは、元配偶者の収入もあって気づかなかった生活費の流れ、一人で暮らしてみたら、支出を払うだけで大変なこともあると思います。
生活が成り立たなくなると、借金の額が増えていくことが考えられるので、生活費の捻出が難しい状況ならば改善策を考える必要があります。
どの支出の重圧が大きいのかまで割り出しましょう。
それが、借金であるのならば、弁護士に早めに相談することをおすすめします。
②お金がない原因に借金がある場合は、債務整理を考える
生活費の補填や婚姻期間中の借金などがあり、離婚した現在も婚姻期間中の支払いの圧迫を受けている場合は、債務整理をして支出割合を減らしましょう。
特に住宅ローンを組んでいる場合には、配偶者の協力も得られなくなった今、支払いが難しくなるケースもよくあります。
③正当な理由がある場合は、減額交渉をする
減給、失業、ケガ、病気、再婚などの理由がある場合には、養育費の減額交渉を考えましょう。
次に「養育費が払えない時の対処方法」をお話します。
養育費を払えない場合の法的対応策
養育費は、如何なる理由があっても免除することはできません。
子どもが健やかに育つ権利であることは上述しました。
ですが、あなたの生活も守らなくてはなりませんので、できることを考えていきましょう。
1.養育費の減額交渉について
元配偶者に連絡が取れる場合は、今の状況を説明し、直接交渉をしてみましょう。
支払方法や期間の調整に応じてもらえる場合もあるかもしれません。
しかし、別れた配偶者からは、理解を示してもらえないケースも多いと思います。
直接連絡ができない、または話し合いに応じてもらえない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる手続きをしましょう。
そこで、やむを得ない事情があると認めてもらえれば、養育費の減額ができるかもしれません。
<減額交渉の例>
♦受け取る側の収入が増えた
♦支払うがの扶養家族が増えた
♦受け取る側が再婚をした
これらの経済的な状況の変化が認められれば、養育費を減額できる可能性があります。
2.養育費と借金を抱えている場合
養育費をどれだけ滞納していたとしても、非免責債権と言って、減額交渉以外で減らしたり、免除したりすることは残念ながらできません。
非免責債権には、税金も含まれます。
ですが、養育費や税金などの滞納以外で、消費者金融や銀行や個人の借入がある場合には、〝債務整理〟という方法で負担を軽減することが可能です。
借金の相談は、弁護士が専門家です。
弁護士には、あなたの状況に応じて、任意整理・個人再生・自己破産のいずれかをご提案し、手続きすることが可能です。
あなたが選んだ債権者のみを対象とし、将来利息をカットし、3~5年で弁済する手続きのことです。
弁護士に依頼するだけで手続きは完了します。
個人再生
すべての借金を大幅に圧縮(5分の1~10分の1)し、3~5年で弁済する手続きのことです。
裁判所への申立ては必要ですが、実際に財産を処分することがなく、住宅ローンを維持できる場合もあるため、メリットの高い手続きです。
自己破産
借金そのものを帳消しにする手続きです。
何もかも失う手続きだと誤解されていますが、総額99万円までの財産は残すことができ、家財道具などを処分されることもありません。
今現在、お金がない方に向けた手続きであるため、相談費用は無料で行っている法律事務所が多く、弁護士費用も分割にしているケースが多いです。
しかし、弁護士なら誰でもよいのではなく、債務整理に注力している弁護士にご相談ください。
まとめ|無理のない方法で解決策を見つけていこう
養育費の支払いは重要な責任ですが、それが生活を圧迫しすぎないようにするための工夫が必要です。
減額請求や債務整理を活用し、無理のない範囲での支払いを目指しましょう。
もしも、経済的な困難に直面した時は、法的な手段を利用することができますので、一人で抱えないでください。
一緒に生活を守りながら子どもへの責任を果たす道を模索しましょう。
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