自己破産すると何もかも失うのでは?
自己破産に対する不安は、借金を無くすことよりも「失うもの」に重きがありませんか?
これまで、借金の取立てに苦しんできましたよね。
それを終わりにする手続きが「自己破産」です。
しかし、自己破産をすると、財産も処分しなくてはならない。
良い面の反面に隠れているのは、財産の処分も同時に行うことです。
でも、
実は「問題のないもの」が多いんですよ。
僕は、名古屋で債務整理を専門に手掛ける弁護士です。
僕の印象では、すでに財産と呼べるものは、お金に換えてしまっているケースが多いです。
そうなると、自己破産をしたからと言って、処分されると怯えるものは少ないのが実際の話です。
そうは言っても、僕の経験上の話とあなたの現状の話は違うかもしれないので、まだ安心はできませんよね。
だから、今日は「自己破産すると失うもの」について説明します。
自己破産するとどうなるのか?
まず「自己破産するとどうなるのか?」という疑問からお答えしていきます。
帳消しにするためには、ある一定の財産を除いて、持っている財産をお金に換えて処分する(債権者へ分配する)ことになります。
自己破産すると失うものにはどんなものがあるのか?
自己破産手続きでは、たくさんの書類や資料を準備する必要があります。
その中には、財産の目録として、あなたの所有しているものを書かなくてはなりません。
その中に含まれるものを解説します。
現金、預金、保険、株、車、家…
法律でいうところの「財産」とあなたの思う財産はイコールではないかもしれません。
・手元にある現金
・銀行などに預けている預金
・生命保険
・学資保険
・株
・車
・家など
こういったものを財産目録として、裁判所に提出しなければいけません。
生命保険や学資保険だけはと思って貯めていたものが、自由財産の範囲を超えてしまえば、お金に換えて債権者に配当しなくてはいけなくなります。
でも、現金・預金・生命保険・学資保険などの解約返戻金が、それぞれ20万円以下であれば、自由財産として認められます。
ただし、総額99万円以下までと定められているので、20万円以下でも総額を超えてしまったら大丈夫とは言い切れません。
車については、まず、ローンがあるものは、持ち続けること自体ができなくなります。
車以外のローンについても「ローンのあるものは処分対象になる可能性がある」と思ってください。
家については、ローンがなくても、資産価値がないとはなかなか言えないので、処分されてしまうことがほとんどです。
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家財道具はどうなるのか?
家財道具も財産目録として資料に書くと決まっているものがあります。
・たんす
・サイドボード
・食器棚
・ベッド
・ビデオ、DVDデッキ
・ビデオカメラ
・テレビ
・ステレオ
・電子レンジ
・冷蔵庫
・洗濯機
・掃除機
・エアコン
・ミシン
・ピアノ
・エレクトーン
・パソコン
・絵画
・貴金属
これらを全部持って行かれるのではなくて、査定見積もりを取った上で、20万円以上の価値になるものがあれば、処分対象になるということです。
※もらいものや親に買ってもらったものであったとしても、対象になります。
ですが、
裁判所が必要だと認めるものに関しては、自由財産の拡張として処分されることはありません。
基本的には、家財道具は、差押禁止財産として考えられるので、よほど高価なものや、複数の所持ということがない限りは処分されることはありません。
次に、その家財道具にローンが残っている場合の話です。
ローンのある家財道具についてはどうなるのか?
例えば、洗濯機や冷蔵庫を分割購入する場合がありますよね。
誰が判断することになるのかというと、あなたではなく、支払先になる債権者の判断です。
債権者が返却を求める物であるのなら、引きあげられてしまうということです。
これは、所有権が誰にあるのかという問題が影響するせいです。
ローン契約するものは、完済するまで、債権者に所有権があります。
よって、債権者が「支払えないのなら返してください」と言えば、従わなくてはならないことになります。
万が一、失いたくないものであるのなら、
第三者に完済してもらうことで、引きあげを免れることができます。
※第三者とは、同居していない(親、きょうだい、友人などです)
ペットはどうなるのか?
ペットに関しては、とても酷な話になります。
ペットショップでは、高額な犬や猫が売買されていますよね。
ローン可能で販売されていることが、ほとんどだと思います。
よって、ローンの支払い途中のペットは、引きあげ対象となります。
支払いを完済しているペットであっても、価値のあるペットであれば処分対象にもなります。
心苦しいですが、法律では、ペットは、所有物としてみなされてしまうため、飼い主にとっても、ペットにとっても、家族としての認識があり、情も心もありますから、納得できない処分になることを覚悟しなければなりません。
でも、実際に引き揚げ対象となってしまったケースもあるため、債権者の判断によるというところがあるようです。
子供の習い事はどうなるのか?
今の時代は、習い事を子供にたくさんさせる風習がありますよね。
裁判所は、子供の味方になるのか?と聞かれると、残念ながら実際は難しいです。
この理由は、子供の習い事をしているせいで「家計を圧迫している」と、裁判所が判断したら、習い事をやめるように指示されることがあります。
裁判所が何を軸に見ているのかということが、重要なポイントです。
裁判所は「その生活の送り方で問題が生じて、お金に困ることにならないだろうか?」という部分を軸に判断しています。
もしも、習い事をさせるために借金が膨れ上がっているのなら、それは問題となるわけです。
【まとめ】自己破産で失うものは想像より少ない
自己破産するとどうなるのか?失うものはどんなものがあるのか?を解説してきました。
一般的な家庭であれば、家財道具を根こそぎ持って行かれるというようなことはありません。
ただ、そこにお金に換えられるものがあるのならば、お金に換えて、少しでも債権者に分配をしようということです。
あなたが借金を帳消しにしてもらうということは、債権者は、返ってくるはずのお金が返ってこないとなるので、法律では少しでも配当できるものがあるのなら配当しようという決まりがあります。
ただ、現実的には、支払が厳しくて生命保険をすでに解約してしまっていたり、貴金属類を売ってお金に換えていたりするので、手元に高額な財産を持っている方は少ない印象です。
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