住宅ローンの支払いが難しくなり、「このままではマイホームを失ってしまうかも…」と不安を抱えている方へ。実は、債務整理の一つである個人再生を利用することで、住宅を守りながら借金を整理できる可能性があります。
特に、オーバーローンの状態にある場合は、住宅資金特別条項を活用することで、家を手放さずに済むケースが多く見られます。しかし、この条項を利用するにはいくつかの条件を満たす必要があり、すべての人が適用できるわけではありません。
本記事では、個人再生で住宅を守るために押さえておきたい重要なポイントをわかりやすく解説します。さらに、当事務所がどのようにサポートできるかについてもご紹介し、不安を抱えるあなたが安心して次のステップに進めるようお手伝いいたします。
オーバーローンの条件とは…
オーバーローンとは、住宅の査定価格よりも住宅ローンの残高が上回っている状態を指します。以下の条件を満たしていれば、個人再生を活用し、大切なマイホームを守ることができるかもしれません。
■住宅がオーバーローンであること
■支払いが滞る原因が住宅ローン以外の借金によるものであること
■安定した収入があること
個人再生で住宅ローンを守れる条件とは?
個人再生手続きを行うことで、クレジットカードの返済、キャッシングの返済、住宅ローン以外のローンなどを大幅に圧縮することができます。
※非免責債権と言って、税金・年金・保険料・養育費・損害賠償金などは対象外です。
個人再生の特徴の一つに、住宅資金特別条項という住宅ローンを優遇する制度があります。これを利用すれば、住宅を手放さずに他の借金を大幅に減額できますが、利用するためには厳密な条件があります。まずはその条件を確認しましょう。
住宅資金貸付債権であることが必須
住宅ローンが「住宅資金貸付債権」に該当する場合のみ、住宅資金特別条項が適用されます。
これは、純粋な住宅ローンに限定され、事業用ローンや、住宅以外の用途に使われたローンは対象外です。
住宅がオーバーローンであること
もう一つの重要な条件は、住宅がオーバーローンの状態にあることです。
つまり、住宅の市場価値よりも住宅ローンの残高が多い場合に限られます。もし住宅の価値がローン残高を上回る「アンダーローン」の場合は、この特則を利用できません。
「住宅ローンが払えない」と感じたら、まず考えるべきこと
住宅ローンが払えなくなった理由は人それぞれですが、まずはその原因を明確にしてから最適な解決策を探ることが大切です。以下では、よくある理由をいくつか挙げ、個人再生を選ぶべきかどうかを考える手がかりを提供します。
収入減少やリストラ
急な収入減少やリストラが、住宅ローンの支払いを難しくする最も一般的な原因の一つです。特に、長期間にわたって支払い能力を回復できない場合、個人再生を検討するべきです。
医療費や突発的な出費
突然の医療費の発生や、予期せぬ出費もまた、住宅ローンの支払いを困難にします。こうした状況では、借金の総額を減らすための手段として個人再生が有効です。
複数の借金の影響
住宅ローン以外の借金が増えていくと、総合的な返済負担が重くなります。この場合、借金の総額を大幅に減額できる個人再生を選択することで、住宅を守ることができます。
弁護士が個人再生を提案するまでの流れ
まず、マイホームを守りつつ、借金の圧縮ができるかを考えるために以下の公式をあなたの収入で当てはめて考えてみてください。
今ある住宅ローン以外の借金を除いて、この公式は成立しそうですか?
この「余力」部分は、圧縮された借金を支払っていくことができるか、できないかの目処になります。
あなたの借金額が現段階では分かりませんが、目安として、300万円ほどの借金であれば、毎月4万円ずつ支払える余力が確保できないと難しくなります。
具体的に言うと、
- 住宅ローンを支払い続けていくことができること
- 今後は借金をせずに生活できること
- さらに、数万円の余力が残ること
まず、この条件で、任意整理というものを検討することができます。
任意整理とは、利息をカットして、元金を3~5年で返済していくものです。
ただし、債権者によっては、任意整理に応じてもらえなかったり、思った弁済額にはならず、生活再建ができない場合もあります。
任意整理で生活再建が難しかった場合、次に考えることは、
個人再生です。
個人再生は、借金の総額を5分の1~10分の1に減額し、減額したものを3~5年で返済していくものです。
個人再生の要件に当てはまれば、住宅ローンを残したまま、その他の借金を大幅に減額することができるかもしれません。
そのためには、住宅ローンを残せる条件にあるかを考えなくてはなりません。
前回、個人再生と住宅ローン「住宅資金特別条項」とはどういうものか?を書きました。
今回は、補足記事にもなります。
住宅資金特別条項を利用できないケースを事前にチェック!
個人再生で住宅資金特別条項を利用するには、いくつかの条件を満たしていなければなりません。以下に、特則が利用できない場合をまとめました。
住宅ローンが住宅資金貸付債権でない場合
住宅ローンが、住宅購入のために使われた住宅資金貸付債権でない場合、特則を適用できません。事業用や他の借金と組み合わせたローンは対象外となります。
アンダーローンの住宅の場合
個人再生のメリットを活かすためには、住宅資金特別条項の条件をクリアしなければ、住宅ローンを維持することができません。
住宅資金特別条項を利用するためには、
オーバーローンである必要があります。
アンダーローンについて具体的に説明します。
例えば、住宅ローンの残債が1,000万円、家の査定額が1,500万円だったとします。
どっちが上回っていますか?
家の査定額ですよね!
差額は、500万円のプラスです。
個人再生では、この500万円はあなたの財産というカウントがされてしまいます。さらに「清算価値」と言って、実際に処分をするわけではありませんが、お金に換えた時の価値を最低弁済額に組み込まなくてはなりません。
個人再生では財産・資産価値以上の弁済をすることと定義されています。
例えば、持っている借金を500万円だとします。
通常、最低弁済額は、100万円となり、100万円を3~5年で弁済します。
ですが、住宅の清算価値が、500万円となると、最低弁済額は、100万円ではなくなります。
個人再生の定義をあてはめると、
「500万円以上の弁済をする必要がある」となります。
つまり、500万円の借金は、500万円のままとなり、全く意味がないことになってしまいます。
よって、家の査定額よりも、住宅ローンの残債額が上回っているオーバーローンでなくてはならないのです。
税金の滞納がある場合
税金は、滞納なく支払えていますか?
個人再生を考える時、税金は完納しているか、税務署との話し合いで分割の合意を得ていることが必要となります。
また、分割している場合は、その分割金が、再生計画案に無理がないという条件も必要となります。
なぜ、そんな条件が必要かと言うと…
税金の回収には、強制執行として、住宅を差し押さえられる可能性があるからです。
もしも、税金の支払いが難しいという答えを出さざるを得ないとなると、選べる選択肢は、自己破産の一択になってしまいます。
自己破産を選択すれば、オーバーローンで住宅資金特別条項を満たしていても、手続きの内容が違うので、住宅ローンを維持することも、家を残すこともできなくなります。
さらに、税金は、自己破産をしても免除されることはありませんので、ご注意ください。
その他、年金・養育費・損害賠償金なども同じ考え方になります。
住宅が複数ある場合
セカンドハウス、別荘など、2つ以上の住宅を保有していることもありますよね。
住宅資金特別条項を利用できるのは、
あなたが住んでいる住宅だけになります。
もう1つの家が、アンダーローンの場合は、清算価値に組み込まれることになります。
前述しましたが、もしも、今住んでいない家の売却査定額が、あなたの借金額相当または借金より上回ることがあれば、個人再生手続きそのものの成立が難しくなります。
しかし、オーバーローンの場合は、競売にかけられ、残ったローンは、再生債権として扱われることになります。
また、ローンを完済している場合には「清算価値」の対象になるため、借金額相当または借金額を上回る場合には、個人再生手続きが成立しません。
この場合は、セカンドハウスを維持したい場合には、任意整理を考えます。
または、セカンドハウスを手放してもいい場合には、売却して借金の返済に充てることになります。
支払不能状態で、セカンドハウスを売却処分し、一部の借金にだけ支払いをしてしまった場合、偏頗弁済に該当する可能性が出てきます。
債務整理を行う場合には、偏頗弁済は問題となります。
※偏頗弁済とは、特定の債権者にだけ支払いをしてしまうことを言います。
債権者は、平等に扱われるべきであるという考え方が法律にはあるため、弁護士に相談してから行動することをおすすめします。
マンションの管理費を滞納している場合
住宅ローンと言っても、一戸建てやマンションなどがあります。
マンションの住宅ローンを維持したい場合の注意点です。
マンションの管理費って、あまり認識がないかもしれませんが、滞納していると、先取特権として扱われ、強い担保権があります。
住宅資金特別条項を利用するためには、家が抵当や担保になっていないことが条件です。
よって、管理費の滞納がある場合には、住宅資金特別条項を利用することが難しくなります。
ただ1つだけ、切り札として有効なのは…
あなた以外の第三者が滞納している管理費を支払うことです。
ですが、同居家族は、第三者にはならないので、親族などにお願いして支払ってもらうことが求められます。
もしも、あなたが支払ってしまった場合は、偏頗弁済となります。
※偏頗弁済(へんぱべんさい)
弁済額が上がるor再生計画案が不認可となる可能性があることなので注意しましょう。
住宅を抵当に入れてローンを組んでいる場合
例えば、家絡みで、家のリフォーム代はどうなるでしょうか?
家に絡んだものですが、リフォーム代自体は、住宅資金特別条項を利用できるものではありません。
ですが、リフォーム代のローンを組むのに抵当権を付けてしまったら、家を残すことは難しくなります。
単なるローンであれば、一般的な再生債権として扱われることになります。
その他、何かの借入資金のために家に抵当権を付けている場合は、家を残すことは困難となることを覚えておいてください。
住宅を守りたいなら、早めに個人再生を検討しよう!
住宅ローンが払えなくなる兆候が出てきたら、早めに個人再生を検討することが重要です。特に、住宅資金特別条項を活用できるかどうかは、住宅を守るための大きな分かれ道となります。
また、借金問題は放置すればするほど複雑になり、最適な解決策を見つけるのが難しくなります。弁護士に早めに相談することで、無理のない形で借金問題を解決し、マイホームを守る方法が見つかるかもしれません。
【まとめ】個人再生と住宅資金特別条項の利用でマイホームを守る
個人再生は、住宅を手放さずに借金を整理できる優れた方法ですが、住宅資金特別条項を利用できるかどうかは重要なポイントです。特に、オーバーローンであることや、住宅ローンが住宅資金貸付債権であることが利用の鍵となります。
住宅ローンの支払いが厳しいと感じたら、まずは当事務所にご相談ください。お客様の状況に合わせて、最適な債務整理の方法を提案し、無理のない形でマイホームを守るサポートを行います。無料相談も行っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
あなたにとって、思いでもたくさん詰まった大切なマイホームだと思います。
僕は、家族の大切な生活の場として、どうにか残せる道を一生懸命に考えて取り組んでいます。
僕も娘たちと暮らす家があります。それを手放すなんて、いくら借金に困っていても、簡単に決断できることではないと、自分に置き換えても思います。
中には、個人再生をあまり勧めない弁護士もいるようです。
本当にあなたのケースでは個人再生を選択することが無理なのかを納得いくまで、弁護士と話し合ってみてください。セカンドオピニオンの利用も是非検討してください。
もちろん、あなたの状況によっては、僕も難しい、無理だという判断をしなくてはならないこともあります。
ですが、まずは「住宅を残す」ということに重きを置いて、一緒に考えたいと思います。
弊所、アーク法律事務所へのご相談は来所が必要です。
場所は、名古屋市中区丸の内3丁目17番地13号 いちご丸の内ビル6階にあります。
地下鉄「久屋大通駅」1番出口より北へ徒歩1分です。
面談時間は、平日10時より行っています。
平日夜間・土日にも対応しています。
ご相談料は不要です。
何度ご相談いただいても、セカンドオピニオンのご相談でも無料でご利用いただけます。
あなたの未来を一緒に考えたいと思います。
どうぞ、お気軽にご相談にお越しください。
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