個人再生は、借金総額を大幅にカットできる上に、住宅ローンも住宅資金特別条項の要件を満たしていれば維持ができます。
とても魅力的に見えるのですが…
この手続きにおいて
自分の車がどうなるのか?
そこが気になって、決断に至れないのではないでしょうか?
債務整理に注力してきた弁護士として、まず伝えたいことがあります。
「車」の存在が気になりすぎて、無理な任意整理をしようとする方がいます。
これから説明していく話は「個人再生と車」です。
Q:あなたの車はどうなるのか?
所有権が自分にあれば残せます。
所有権が自分になければ残せない可能性が高いです。
では、詳しく解説していきます。
個人再生|車・バイクが残せるかは「ローンの組み方」
あなたの車の所有者は誰になっていますか?
これが、車を残せるかどうか、最初の運命の分かれ道となります。
所有権が自分にある場合とない場合では、話が大きく変わってしまいます。
以下の5つの項目に分けて説明していきますので、あなたの該当する部分がどこなのかを確認の上お読みください。
- ローンなし、完済している
- ローンあり、マイカーローン
- ローンあり、ディーラーローンなど
- 残価設定型クレジット
- リース契約車
バイク、中古車の場合も該当箇所でお読みください。
個人再生の弁済額が決まる仕組み
車の査定額が100万円で、その他、学資保険や生命保険などの財産が50万円あったとき、最低弁済額は、財産の合計150万円になります。
個人再生の弁済額は、最低弁済額と財産の合計額を天秤にかけて高い方に決まります。
例でいくと、
■最低弁済額は100万円
■財産の合計額は150万円
高い方は、財産の合計額(清算価値)となります。
車・バイクのローンなし、完済している場合
車やバイクのローンが完済している場合、所有権はあなたにあると思います。
車やバイクは、財産としてカウントされるものですが、清算価値として取り扱うかは、以下の条件を満たしているかをご確認ください。
車の場合
・国産車である
・新車価格が300万円以下
・初年度登録から7年経過
50㏄以上のバイクの場合
・購入から3年以上経過
この条件に該当する場合は、個人再生手続きに問題なくバイクを残すことができます。
この条件に該当しない場合は、
バイクの査定額を清算価値に計上する必要があります。
50㏄以下のバイクの場合
この条件に該当する場合は、個人再生手続きに問題なくバイクを残すことができます。
ローンを完済していても問題になる条件
・外車
・初年度登録から7年未満
このいずれかに該当する場合は、清算価値に計上する必要があります。
ローンあり、マイカーローンの場合
ローンはあるけれども、マイカーローンを組んでいる場合所有権があなた名義になっていると思います。
よって、この場合は…
マイカーローンを債権者一覧表に書くことになりますが、
車を引き揚げられることはありません。
ただし、車の査定額については、清算価値として計上したとき、あなたの弁済できる範囲内であれば、個人再生は問題なく行えるということになります。
ローンあり、ディーラーローンなどの場合
ローンを組んでいるが、直接ディーラーローンを組むこともあると思います。
この場合は、所有権留保となっており、所有者は、ディーラーや○○フィナンシャルなどとなっているはずです。
つまり、所有権があなたにはないことを意味しています。
よって、
所有者である債権者が車を回収し、売却することになります。
<売却されたらどうなるのか>
売却額の方が上回る場合は、返金という形になり、清算価値に計上する必要があります。
残価設定型クレジットの場合
今や積極的に各ディーラーでも勧められる残価設定型クレジット。
下取り価格を先に決めて、契約をする残価設定型クレジットは、人気の契約だと思います。
3年とか、5年後に契約した車をどうするのかを決めることができ、その期間満了までには、下取り価格までを分割で支払います。
この支払い途中で、個人再生をする場合も同じく、所有者があなたにはないため
車は引き揚げられることになります。
尚、引き揚げだけでは車の残金をペイできないので、下取りとの差額を請求されることになります。
よって、残価設定型クレジット分の支払いは、再生計画案に入れることになります。
リース契約車の場合
会社や個人事業主だけでなく、個人でも契約の検討がしやすくなったリース契約についてです。
リース契約は、原則、途中で変更不可の契約であったり、途中解約には、違約金を支払う必要があるものです。
税金やメンテナンス費用も含まれていたりするので、家計にも優しい契約の1つですね。
この場合は、
即座に車を返却と言う形になります。
さらに、
違約金を請求されることになるので、再生計画案に入れることになります。
ここまで、車のローンの有無や組み方についてを説明してきました。
次に、車を残すためにできる方法をお伝えします。
個人再生をしても「車やバイク」残せる3つの方法
個人再生をする人は、債権者の言う通り、必ずしも車を引き揚げられるというわけではありません。
今からお話する3つの方法のいずれかを使えば、車を残すこともできます。
清算価値に計上して、最低弁済額に影響することを受け入れる
1つめの方法は、
完済している車とマイカーローンが対象です。
財産としての価値があったとしても、清算価値に計上して、毎月支払っていくことになる弁済額に問題なければ大丈夫です。
財産があっても、毎月の弁済額が支払えるのであれば、財産を残せることが個人再生の魅力です。
ただし、毎月の弁済額が大幅に上がってしまうのであれば、車を諦める必要があります。
第三者弁済をしてもらう
自分で残りのローンを支払う行為は、偏頗弁済(へんぱべんさい)と言って、ペナルティを受けることになります。
自分では残りの借金を支払うことはできませんが、同居家族ではない第三者の人、例えば親御さんなどに残債を支払ってもらうことで、車を残すことができます。
この場合も、車の価値は、清算価値として計上する必要があるため、弁済額には注意が必要です。
別除権協定を結んでもらう
日常で使う車とは、ちょっと話が異なります。
車がないと仕事ができないという、個人タクシー、個人宅配業者などの方は、大変困ることになります。
その場合には、別除権協定というものを使います。
債権者にこれまで通りのローンの金額を支払うことで、車をこれまで通り維持していくことができるものです。
これまで通りに車のローンを支払えるならお得な協定!と思われるかもしれませんが…
別除権協定は、該当する人が非常に少ないのが難点です。
これは、タクシーの運転手や宅配業者などの個人事業主の人を対象とした協定です。
つまり、車がないと生計が立てられない仕事をしている方向けに作られた協定ということです。
【まとめ】個人再生と車の関係について
いろいろと、車の契約を見ていくと、細かな違いがあって複雑です。
簡単なまとめをします。
2.所有権が自分にある場合は、査定額を清算価値に計上する可能性があること
3.所有権が自分にない場合は、引き揚げられる可能性が高いこと
ここを軸に考えてみてください。
個人再生を依頼する場合は、車の先行きの不安を弁護士にお伝えください。
あなたの車を残せるように僕も考えます。
あなたのケースに合わせて、できる限り、あなたの納得いく未来の形を一緒に考える役目が弁護士の仕事です。
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