支払督促が届いたらどうする?払えない場合の対処法と異議申し立てのポイント

支払督促とは、督促の連絡を入れても、督促状を何度送っても、一向に支払ってくれず、借金を放置・滞納し続ける債務者に対して、裁判所から督促の通知を送ってもらうものです。

 

突然、裁判所から「支払督促」という書類が届いたら驚きますよね。

「すぐに支払わなければならないのか?」「お金が払えない…」といった不安に駆られるかもしれません。

特に、支払いができない場合にはどう対応すれば良いか、迷ってしまうことでしょう。

 

この記事では、支払督促が届いた場合の対処法を解説し、「払えない」状況であっても取るべき行動や異議申し立ての方法について詳しく説明します。

また、弁護士に相談すべき理由やその重要性もお伝えします。

支払督促に対して正しい対応を行い、最悪の事態を回避するための重要なポイントを確認していきましょう。

 

支払督促とはどんなものなのか

 

支払督促は、債権者(お金を貸した側)が、あなたにお金を返してもらうために裁判所を通じて送ってくる通知です。通常の訴訟に比べて手続きが簡便で、早く解決できることから債権者にとってはよく使われる方法です。

支払督促は、貸主(債権者)が貸したお金の返済を求めるために利用する法的手続きの一つであり、通常の裁判とは異なり、債務者(あなた)とのやり取りを最小限にすることができるため、迅速に債務の取り立てを行える点が特徴です。

 

債権者が裁判所に訴えを起こした場合、債務者に届く手紙は

■支払督促

■通常訴訟

のどちらかになることが多いです。

支払督促は、外袋や書類の分厚さが、通常の請求書と変わらない見た目で、よく見ないと差出人が「裁判所」であることを見落としがちです。

 

支払督促とは、債権者があなた(債務者)に対して、支払いを求める文章です。
支払期限・金額・利息・遅延損害金などが記載されています。

 

再三の督促に応じてもらえなかった債権者は、あなた(債務者)の住所地を管轄する裁判所に申立てを行い、裁判所から送付されてきたものです。

 

この中には、異議申立書というものが一緒に同封されています。

 

裁判所からの手紙ということで、受け取ってパニックに陥ってしまうかもしれませんが、この異議申立書が今後の状況を左右します。

 

この後、待っているのは、強制執行(給料・口座など)の差押えです。

 

落ち着いて、対処しましょう。

 

異議の理由や証拠を明記することで、通常訴訟へ移行できるので、すぐに強制執行されることを防ぐことが可能です。

ただし、期間は送達から2週間以内に異議申立書を裁判所に提出しなくてはいけません。

 

【異議申立書の例、記載するポイント】

・身に覚えのない債務が記載されている
・借りた金額が間違っている
・一括払いが難しく、分割にして欲しい
・現在、借金を支払える状況にない

※時効を過ぎた借金の場合、ただ放置しているだけでは借金は消滅せず、時効援用の手続きをする必要があります。この場合、債権者と連絡を取る前に支払督促を持って弁護士に一度ご相談ください。

 

支払督促を受け取った時の選択肢は2択です。

  1. 支払う
  2. 異議申立書を提出する

 

【支払い能力がある場合】

速やかに支払いを行いましょう。

これ以上、債権者とのトラブルに発展しないように回避することも期待できます。

 

【支払い能力がない場合】

債権者との交渉が必要になります。

 

支払いができないからと放置していると、仮執行宣言付の支払督促が送付されて、給料や財産などを差し押さえられる強制執行が待っています。

 

稀に架空請求や詐欺的な請求の場合もあるため、一度弁護士に現物を持って相談に行かれることをおすすめします。

 

 

支払督促が送られてきた目的

 

支払督促が送られてくる目的は、貸したお金の返済を早く回収することです。貸主は裁判所に申立てを行い、支払督促という形で督促状を送ります。

注意すべきは、この支払督促に対して異議を申し立てないと、最終的には差押えなどの強制執行に発展する可能性があるという点です。

 

支払督促の目的は、金銭の未払に対して行うものです。

・貸したお金が返ってこない場合

・商品の代金が支払われない場合

・給与が支払われない場合など

 

債権者の支払督促のメリット

・債権の回収の可能性

(後述する異議申立てが行われなかったときに、強制執行として給与などの差し押さえができること)

 

・時効の中断

(支払督促の申立てで時効が中断します)

 

申立をするためには、債権者が債務者の住所を知っていることが前提です。

 

<必要書類>

・支払督促申立書

・当事者目録

・請求の趣旨及び原因

 

<費用>

申立書の枚数が8枚まで、1,099円

9枚以上20枚以下、1,145円

 

申立書の作成費用…800円

 

申立額手数料(収入印紙額)
~10万円500円
20万円1,000円
30万円1,500円
40万円2,000円
50万円2,500円

手数料…10万円の場合は、500円

10万円ごとに500円ずつ加算。

100万円の支払督促の場合は、5,000円

 

<その他切手代など>

事務連絡用の切手代などがかかります。

 

弁護士 鬼頭
このように債権者にとっては、大きな負担を強いられることなく、債務者に通知を送ることができてしまうものです。

 

 

支払督促の流れ

 

支払督促の流れは次のようになっています。

 

1.債権者が支払督促を申請
債権者があなたに対してお金を返してほしいという請求を裁判所に出します。2.裁判所が支払督促を発行
裁判所が債権者の申立てに基づいて支払督促を発行し、あなたの元に送られてきます。3.異議を申し立てなければ、仮執行宣言が出る
支払督促に対して異議を申し立てない場合、裁判所は債権者に仮執行宣言を出し、差押えなどの強制執行ができるようになります。

4.異議を申し立てると通常訴訟へ移行
支払督促に対して異議を申し立てると、通常訴訟に移行し、裁判でお金を支払う義務があるかどうかが争われます。

債権者が支払督促申立書を作成し、債務者の住所地の簡易裁判所に提出します。次に裁判所は、不備がないことを確認したら、支払督促を発布します。

そして、債務者のもとに支払督促が届きます。

 

この支払督促の中には、異議申立書が同封されています。

その猶予は2週間です。

 

債権者にとっては、督促異議の申立てがされずに済むことを願いたい期間です。

債務者にとっては、裁判所からの通知で驚くことになるでしょうし、異議申立書の提出をしようと思うかもしれません。

 

弁護士 鬼頭
この2週間以内に、支払督促を受け取ったあなたは、異議申立書を提出する、または弁護士人相談するなどの対応をしなければ、給料や財産などを差し押さえられてしまうことになります。

 

異議申立書を提出しなかった場合

債権者は、仮執行宣言付の支払督促の申立てができるようになります。

債務者のもとに仮執行宣言付の支払督促が送達されると、強制執行(給料や財産などを差し押さえ)が開始されることになります。

 

次に具体的に解説します。

 

異議申立てがされなかった場合

 

債務者が支払督促正本を受領した日から2週間以内に督促異議の申立てがされなかった場合は、

2週間目の翌日~30日以内に仮執行宣言の申立てをする必要があります。

 

この申立てをして、債権者は、債務名義を獲得することができます。

 

もしも、30日が経過してしまった場合には、取り下げたことになるので注意が必要です。

 

つまり、何もしないで、仮執行宣言を裁判所が自動的にしてくれるわけではないということです。

 

裁判所は、仮執行宣言付支払督促を債務者に送達します。

 

これで、いつでも相手の給与などを差押える準備の完了です!

次は、強制執行の申立てを裁判所にして、実際に給与などを差押えることができるというわけです。

 

強制執行をするには、4,000円の収入印紙と切手代などがかかりますが、この費用は、執行費用として計上することができます。

 

 

【異議申立てがされた場合】

債務者から異議申立てがされた場合には、通常の訴訟手続きをすることになります。

 

この時、債権が

140万円以下の場合は、簡易裁判所

140万円以上の場合は、地方裁判所

に、債権者は、通常訴訟の申立てをすることになります。

 

通常訴訟とは

通常訴訟とは、簡単に言えば裁判です。

 

債権者は、異議申立があった場合、通常訴訟の準備をしなければならなくなります。

債権者は、訴状に代わる準備書面の用意などを経ることになり、時間がかかります。

 

裁判所は、債務者の管轄地域の裁判所で行われます。

債権者によっては、債務者の管轄裁判所が遠方となる場合もあり、時間もかかることから不利になる点も多いです。

 

支払督促、訴訟のどちらにしても、債権者の目的は、あなたからのお金の回収です。

裁判所に申立てをしているという時点で、強制執行(給料や口座の差押え)がしたいという結論は変わりません。

 

支払督促を無視するとどうなるのか?

 

支払督促を無視すると、裁判所は仮執行宣言を出し、差押えが実行される可能性があります。

たとえば、給与や預貯金、財産が差し押さえられる危険性が出てきます。

 

支払督促を受け取った場合、必ず何らかのアクションを取る必要があります。

もし支払ができない場合でも、適切な対処法を取ることで最悪の事態を回避できます。そのため、無視することは絶対に避けるべきです。

 

支払督促が届いた時の対処法

 

支払督促が届いた場合、まず冷静に内容を確認し、以下のいずれかの対処を検討しましょう。

 

1.支払いが可能な場合
支払督促に記載されている金額を期日までに支払うことで解決できます。この場合、支払督促に対して異議を申し立てる必要はありません。

2.支払が困難な場合
支払ができない場合や、請求金額に納得できない場合は、異議申し立てを行う必要があります。この異議申立てを行うことで、通常訴訟に移行し、裁判で解決を図ることが可能です。

3.異議申立ての方法
異議申し立ては、支払督促を受け取った日から2週間以内に行う必要があります。期限を過ぎると異議を申し立てる権利を失ってしまい、債権者の主張が認められた形になってしまいます。

 

支払督促を受け取った時には、異議申立書を提出する必要があります。

その期限は2週間以内なので、悠長なことを言っている時間はありません。

 

本物の支払督促であるかの見極めも必要になるので、弁護士に現物を持って相談することをおすすめします。

 

また、異議申立書の書き方や今後の対処法についても、弁護士に相談することで、最悪の事態である給料や口座の差押えなどを回避することにも繋がります。

弁護士にできること

弁護士に相談すれば、支払督促に対する対応や異議申し立て、さらには債務整理手続きまでサポートが受けられます。

特に支払が難しい状況であれば、弁護士が債権者と交渉し、支払条件を緩和してもらうことや、分割払いの提案なども行えます。

 

また、異議申し立ての手続きや、支払督促に関する法的なアドバイスも提供されるため、弁護士に相談することで適切な対応が取れるようになります。支払督促に関して不安がある方は、早めに弁護士に相談することが重要です。

 

H2: まとめ|支払督促が届いたら早めの対応を!

 

支払督促が届いた場合、無視することは絶対に避けるべきです。

払えない場合でも、異議申し立てを行うか、弁護士に相談して適切な対応を取ることで最悪の事態を防ぐことができます。

支払督促は、債権者にとっては早期解決の手段ですが、あなたにとっても冷静に対処することで解決できる問題です。もし支払が困難であったり、異議を申し立てるべきか迷う場合は、早急に弁護士に相談してみましょう。

 

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