自己破産の最終的なジャッジメントは、
「免責を許可する」
or
「免責を不許可とする」
のどちらかです。
そもそも、「免責」という言葉自体が普段の用語ではありませんよね。
だから、意味が通じにくいですよね。
かみ砕いて説明すると…
「借金の支払いを免除する」
or
「借金の支払いを免除しない」
のどちらかの判決が最後に裁判所からされます。
免除しない=借金はなくならない
もちろん、それなりのお金をかけて自己破産の手続きをすることになるわけですから、免責を許可する(借金の支払いを免除する)という判決が欲しいですよね!
あなたが免責不許可事由に該当しているかどうかが問題となります。
これは、破産を検討する人、破産手続き中の人すべてに関わる話です。
免責不許可事由ってどういうことをすると該当するのか?
免責不許可事由は全部で11種類
1.財産の処分を勝手にしてしまうこと
処分されたくないからと、勝手に売ったり、名義変更をしたりする行為のことです。
2.無理な借金を増やすこと
一般的な金融会社がお金を貸してくれないからと、ヤミ金からの借入やクレジットカードの現金化をしてしまうことです。
3.特定の債権者にだけ支払うこと
偏頗弁済(へんぱべんさい)とも言います。
債権者は、平等に扱われなければならないとされているため、ある借金だけを返済することは禁止されています。
4.浪費やギャンブルによる借金
1番破産の理由としても多いものです。
生活に見合わない買い物や支出、ギャンブルや課金などの借金がここに該当します。
5.詐術による信用取引
言葉にすると、難しく聞こえますが…
年収を偽って、借入をすることなどが該当します。
6.業務帳簿を隠すこと
業務や財産の帳簿を隠したり、偽造、変造をすることです。
文章偽造罪が成立する場合もあります。
7.債権者名簿に噓をつく
架空の債権者を書いたり、本来書くべき債権者を書かなかったりすることです。
8.裁判所への説明の拒否、噓の説明
裁判所の調査を拒否すると、免責不許可になる可能性がとても高くなります。
9.管財人の業務を妨害する
管財人は裁判所から調査のために選任される弁護士です。
裁判所への調査の拒否と同じく、協力することが大切です。
10.過去7年以内に免責を受けたことがある
過去にも破産手続きをしたことがり、7年経過していない場合です。
11.破産法上の義務違反
説明義務、財産の開示、調査の協力のどれかを拒んだ場合のことです。
やってしまったものはしょうがない!気づいた「今」が大切なこと
この11種類の免責不許可事由を眺めてみると…
えっ?!大丈夫かなぁ…
と、不安になる人もいると思います。
知らないことがあるのは当然のことです。
法律家でない限りは、法律のことを知らないものです。
でも、借金の支払いができなくなった時にどう思いましたか?
こんなことしなければよかった…
そう後悔しませんでしたか?
借金の理由が免責不許可事由でも、自己破産の検討は可能
実際のあなたの状況を聞いてみないと、一概には言えませんが…
それは間違った生活の仕方だったんだな
そう気づいてからの行動の方が重要だったりします。
免責不許可事由に該当するからと怯えなくて大丈夫!
例えば、浪費やギャンブルが原因の借金を抱えている場合
・現在はやめている
・躍起になっていたことを反省している
・どう生活するべきだったかを考えられる
こういった前向きなことが、破産手続きでは重要なことになってきます。
「今もギャンブルをやめられません」とか
「今もお金が少しでもあったら買い物しちゃいます」
こんなことを言われて、これから頑張ってね!と応援する人はいませんよね?
これから更生してやり直そうとしている姿の方が重要です。
弁護士が伝える破産手続きを進める上の注意点を甘く見てはいけない
破産手続きを進めていく上で大切なことがたくさんあります。
それは、
今後の生活の状況を裁判所は判断材料としてみているということです。
例えば、現在はネット社会です。
何において、問題なのか見えにくいことがたくさんあります。
ここでは注意点の一例を説明します。
スマホの使い方で免責不許可事由に該当する注意点
・後払い=借金という認識を持つこと
・スマホ決済は借金
・ネットショッピングの後払いは借金
・アプリへの課金
・フリマ、オークションでの売買
・メルカリ残高の扱い
※これはあくまでも注意点の一例です。
1つずつ見ていけば、更生に繋がる要素なのか、収支報告が必要なものであるとか、約束違反に該当するものも出てきます。
個人の判断で、勝手に大丈夫なことにしていると、後で「免責不許可事由に該当します」と言われて困ることになるので、弁護士からの注意点は非常に大切なことです。
破産管財人に「裁量免責相当」と認めてもらえる更生が大切
ここまで解説してきた「免責不許可事由」に該当することがあると、自己破産の手続きでは、通常管財事件として扱われることになります。
「事件」という言葉がついているので、何か大事な気もしますが、そういう名前がついているだけです。
簡単な意味としては…
借金や財産の調査が必要であると判断されたときに移行するものです。
破産管財人って誰?
破産管財人とは、この借金や財産の調査を裁判所から選任されて行う人のことを言います。
中身は、弁護士です。
あなたの依頼する弁護士とは別です。
あなたが依頼した弁護士は、あくまでも、あなたの代理人です。
破産管財人の役割は何?
破産管財人は、あなたの借金の経緯や財産の調査をします。
お金に換えられる財産がある場合は、お金に換えて、債権者に分配します。
(換価処分と言います。)
破産管財人からの質問には、いつでも答えられる状況で構えていなくてはなりません。
こうした調査や説明のために、自己破産ではいろいろ制限があると言われているのです。
破産管財人がする制限とは…
・郵便物の転送をして中身をチェック
・引っ越し、旅行などの許可を得なくてはならない
何だか自由もなく、窮屈な気もしますが、すべては、調査や情報収集のためです。
破産管財人に「裁量免責相当」と言ってもらえる更生とは?
こういった窮屈に感じた調査の結果、あなたが節制した結果を破産管財人が意見をまとめて裁判所に提出します。
そこに「裁量免責相当」と書いてもらえれば、免責不許可事由に該当していても、免責を認められるという意見書です。
これが、免責許可の判決に大きな影響を与えるものです。
逆に、破産管財人が「免責不許可が相当」と提出してしまえば、免責許可されない可能性が100%に近い状態になります。
破産管財人は、破産手続きでは、重要なポジションを担っているということになるのです。
【まとめ】最終ジャッジは裁判官「免責を許可する」という判決をもらうために更生が大切
最終的に免責の許可・不許可をジャッジするのは、裁判官の仕事です。
あなたの借金を免除することで、
あなたがこれからをやり直していけるだろうと判断してもらうことが大切なことです。
人生に失敗してしまうことはあります。
これからどう生活するかを裁判所に示していくことが免責許可を得るためには大切!
免責不許可になったら、借金は1円も減らない。
もちろん、免責許可を受けた後も、更生した生活を継続していくことは必要です。
自己破産をして、またすぐに自己破産をすることはできません。
二度目の自己破産では、借金の理由によっては、今度は免責不許可となる可能性が高まります。
自己破産をした時点で、最大で10年間信用情報機関に事故情報として登録されます。
その間にお金を借りることができなくなります。
だから、免責許可を得るためだけの更生ではなく、その後も継続して節制した生活をし続けることが大切になります。
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