自己破産についての噂って、ネット上にたくさん出回っていますよね。
誰かが書いたコメントを読んで、そういうものなのか…と不安になったりしていませんか?
実は、ネット上に出回っているものは、嘘も多いものです。
僕は、債務整理に注力して、弁護士としてアーク法律事務所を運営しています。
この記事では
- 自己破産したら引っ越せないという制限の不安
- 次に引っ越した先も調べられてしまうのかという疑問
- 新たな賃貸契約に対しての不安
これらにお答えしていきたいと思います。
この記事を読んでいただければ、ネット上に出回っていることが、ただのウワサかどうか判断つくと思います。
自己破産をしたことで、不必要な制限を受けることはありません。
自己破産をしても引っ越すことは可能です。
では、本題に入っていきましょう。
噂の真相①自己破産したら「引っ越しができない」の?
自己破産の手続きにおいて、確かに「引っ越す」という行為に一定の制限がかかる時期は存在します。 しかし、この制限はあくまで「手続き中の一時的な話」に過ぎません。
制限がかかる理由は「裁判所や管財人の調査に協力するため」
自己破産が始まると、裁判所から選ばれた「破産管財人」が、あなたの財産や借金の原因を調査します。
この調査期間中に破産者が勝手に遠くに引っ越して連絡が取れなくなってしまうと、手続きが進まなくなってしまいます。 そのため、勝手な転居を制限しているだけであり、決してあなたにペナルティを与えるためのルールではありません。
実際には、以下のようなやむを得ない事情で、手続き中に引っ越しが必要になるケースは多々あります。
- 住宅ローンが払えなくなり、持ち家を処分(売却)して退去するため
- 家賃の滞納が続いており、これ以上住めないため
- 今の生活水準に見合った、もっと家賃の安い部屋へ移るため
こうした事情がある場合、事前に「裁判所の許可(転居許可)」を得ることで、手続き中であっても問題なく引っ越しが可能です。
【手続き中の転居許可の流れ】
- 弁護士を通じて、裁判所に「転居許可の申立書」を提出します。
- 事前に破産管財人に「この引っ越しは手続きの問題ありません」という署名をもらいます。(同一県内や近隣の県への引っ越しであれば、特別な事情がない限りスムーズに署名がもらえます)。
- 裁判所から正式に許可が出たら、実際に引っ越しをして住民票を移動させます。
- 新しい住民票を添付して「住所変更の上申書」を裁判所と管財人に提出すれば完了です。
知っておくべき注意点①家賃を滞納している場合の深刻な問題
もしあなたが「すでに今の家の家賃を滞納していて、安いところに引っ越したい」と考えている場合、自己破産の手続きと絡んで非常にシビアなルールが発生します。
滞納した家賃や退去費用は「借金」として扱われる
個人再生や自己破産の手続きをすると、滞納してしまっている家賃や、退去時に発生する原状回復費用(お部屋の修繕費)もすべて「債権者一覧表」に入れ、法律上は「借金と同じ扱い」として整理の対象にすることができます。
「じゃあ、滞納した家賃は破産でチャラにしてもらって、サクッと新しい家に引っ越そう!」と思いがちですが、ここに大きな罠があります。
自分で滞納家賃を払うのは「偏頗弁済」で手続きが心配に終わる危険アリ!!
「大家さんには悪いから、滞納している3ヶ月分の家賃(15万円)だけは、破産の手続きが始まる前に自分でこっそり支払ってから引っ越そう」
これは「偏頗弁済(特定の債権者だけに優先して返済する行為)」に該当し、破産手続きにおいて裁判所から厳しく追及される重大な禁止行為になります。最悪の場合、借金をゼロにしてもらう「免責」が認められなくなるリスクがあります。
どうしても滞納家賃を支払ってその家に住み続けたい場合は、「あなたの親族(実質的な第三者)の財布から直接大家さんに支払ってもらう(第三者弁済)」といった、非常にデリケートな手続きが必要になります。
「滞納している家賃を払って住み続けるべきか、それとも家賃をチャラにしてもらって別の安いアパートに引っ越すべきか」は、どちらがトータルで安く、かつ安全に済むかを含めて、必ず事前に弁護士にシミュレーションしてもらいましょう。
知っておくべき注意点②持ち家を処分(任意売却・競売)して引っ越す時のタイムリミット
自己破産に伴って自宅(持ち家)を処分する場合、引っ越しには物理的な「期限」があります。
住宅ローンが残っている家は、破産手続きにおいて売却(処分)されることになります。
売却を完了させるためには、当然ながら「あなたが退去して、家を空け渡していること」が絶対条件になります。
実務上、弁護士に自己破産を依頼してから、おおむね「4ヶ月以内」に引っ越しを完了させることが求められます。
なお、引っ越し業者に支払う費用や新居の初期費用については、国や裁判所からの援助金などは一切ありません。すべてご自身の生活費の中から工面していただく必要がありますので、お給料の中から計画的に「引っ越し資金」をプールしておくことが大切です。
噂の真相②ブラックリスト(事故情報)でも、新しい賃貸契約はできる?
「自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリスト)。これだと、新しい賃貸物件を借りようとしても全部審査で落とされてしまうのでは?」という不安がありますよね。
これが、読者の皆さんが一番誤解しているポイントです。
結論から言うと、ブラックリストに載っていても、新しい賃貸契約を結ぶことは十分に可能です!
審査に落ちてしまうのは「信販系の保証会社」だけ
最近の賃貸物件は、家賃の滞納を防ぐために「家賃保証会社」への加入を必須としているところがほとんどです。
この保証会社の中に、JACCやオリコ、セディナといった「信用情報機関(CICなど)を照会する信販系の保証会社」が入っている物件の場合、事故情報があるあなた名義での審査はほぼ100%落ちてしまいます。
解決策:どんな物件を選べばクリアできる?
信販系ではない、信用情報をチェックしない保証会社(独立系の保証会社など)を指定している物件であれば、自己破産の事実がバレることはありませんし、審査も問題なく通過できる可能性が高いです。
物件を探す際は、以下の工夫を取り入れると非常にスムーズです。
① 不動産会社の担当者に正直に打ち明ける 少し勇気がいるかもしれませんが、不動産屋さんに「実は少し過去に信用情報にキズがありまして、信販系以外の保証会社が使える物件を探しています」と打ち明けてみてください。プロの不動産屋さんは、そうした事情を抱えたお客様の対応に慣れていますので、「それならこの物件がおすすめですよ!」と、審査が通る部屋をピンポイントで提案してくれます。
② 賃貸サイトの「保証会社」の欄をチェックする ネットで物件を探す際、詳細欄の保証会社の名前を調べることで、そこが信販系かどうかを見分けることができます。
③ 申込者を「別の家族名義」にする、または保証人を立てる あなた自身の名義での契約が難しい場合は、安定した収入のあるご家族名義で申し込んでもらう、あるいは親族に連帯保証人になってもらうことで、審査の壁を難なくクリアできることもあります。
噂の真相③次に引っ越した先も簡単に調べがついてしまうのか?
個人再生と自己破産手続きを行うと、国が発行する「官報」に掲載されることになります。
掲載内容は、住所と氏名と手続きをした事実が載ります。
一時期は、この情報を簡単に検索できるサイトもあり、大きな不安を手続きした人たちに与えました。
現在は、閉鎖されているようですが、実際には、企業などでも仕事柄、官報の情報を扱っていることもあります。
つまり、あなたの職場や次の就職先で、官報の情報を取り扱っている場合には、手続きの事実がバレてしまうことがないとは言い切れません。
また、ネット上に出回っている不安な要素としては、新しく引っ越した場所もバレるのではないか?という不安があるようなのです。
官報に掲載されるのは、手続きの時点での住所です。
手続き中に引っ越すと、新住所が掲載されることになります。
つまり、手続き後の住所まで掲載されることはありません。
【まとめ】ネット上の噂に惑わされすぎないように注意しましょう!
今日は、自己破産にまつわる「引っ越しと賃貸契約」の噂と知っておくべき注意点について解説しました。
- 住宅ローンが払えなくなり、持ち家を処分(売却)して退去するため
- 家賃の滞納が続いており、これ以上住めないため
- 今の生活水準に見合った、もっと家賃の安い部屋へ移るため
これらの不安は解消されましたか?
思うほどの悪影響はなかったと思います。
強いて言えば、新しく賃貸契約をする際には、物件選びには、保証会社にも注意をしておくということです。
ネットに飛び交う「何もかも失う」「二度と家が借りられない」といった極端な噂は、ただの尾ひれがついた嘘に過ぎません。法律の手続きは、あなたから住む場所を奪うためのものではなく、あなたの生活を再び安定させるためのものです。
あなたの状況をお伺いしなくては、正確な答えを出せませんが、何もかも失うことはありませんし、社会的にも不利になることはありません。
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