債務整理を行う際にペットを手放したくないというご心配、理解できます。
結論から先に申し上げると、一般的に、ペットが差押えの対象になることは非常に稀です。
ペットは、命あるものですが、法律の考え方では「物」と同義に扱われてしまう部分が否めません。
不本意なことであると思いますが、大切なペットがどうなるのかを一緒に考えていきましょう。
これから解説する以下の点にご注意ください。
しかし、ペットが原因で債務整理をすることになった場合は、手放さなければならない可能性がある。
債務整理を行うとペットはどうなるのか?
債務整理をしても実際にペットが処分されにくい理由
1.犬や猫などの市場価値は、それほど高くないので資産価値があまりなく、売却処分が困難です。また、年老いたペットは、より売却先を見つけることが困難になるため、処分されにくいのが現状です。
2.仮にペットを差し押さえたとしても、管理などのリスクがあることです。
法律では物扱いされがちなペットですが、実際は、餌代や糞尿の始末、病気や死亡のリスクなどを考えると、積極的に差し押さえる対象物にはなりにくいのが現状です。
上記の理由を前提として、あなたが行う債務整理の選択によって、結論が異なってきます。
債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生の3つの種類があります。
任意整理を行うとペットはどうなるのか?
任意整理を行う場合、ペットローンを任意整理しなければ、何の問題もありません。
個人再生を行うとペットはどうなるのか?
個人再生手続きでは、実際に財産を処分することはありません。
よって、ペットにローンがない場合は、余程の価値のあるペットでない限り、心配する必要はありません。
万が一、高額な市場価値のあるペットを飼っている場合には、清算価値(仮の売却値)が高額となり、弁済額が高くなる可能性はあります。
また、ペットローンを利用している場合は、次に説明する「ペットローンを利用している場合の債務整理について」をお読みください。
自己破産を行うとペットはどうなるのか?
自己破産を行った場合も、ローンがない場合は、個人再生と同様で、市場価値のないペットに関しては、処分する必要はありません。
しかし、市場価値のあるペットの場合は、売却処分を余儀なくされてしまう可能性は十分にあります。
個人再生との違いは、自己破産の場合は、実際に売却処分しなくてはならなくなることです。
ペットローンを利用している場合は、次の解説をお読みください。
ペットローンを利用している場合の債務整理について
ペットローンを利用している場合、所有権留保の条件でローン会社が所有者であることが多いですが、実際にペットを引きあげるケースは少ないです。
実際にペットを引きあげるかどうかは、残念ながら、債権者の判断になってしまいます。
価値のあるペットだと判断されれば、債権者が引きあげて売却処分をする可能性は十分に考えられます。
ペットが原因で借金をしてしまった場合
■高額な餌代
■ペットの維持費(トリミング・ペットグッズなど)
■数百万円するペット
良識の範囲を超えてしまうようなペットの飼い方、市場価値の高いレアなペットを購入した場合など、借金に至る経緯にペットが関連しているとなった場合には、ペットを手放さなければならなくなる可能性が非常に高くなります。
つまり、どれだけ、あなたがペットを思って世話していたことだとしても、そのペットへの思いが借金を招いたとするのなら、裁判所は、それを「浪費」と指摘することになります。
その浪費を更生してやり直すので、
借金の帳消しを認めてください。
と、申立てることが自己破産です。
裁判所に浪費の原因を改めて、借金の帳消しを認めてもらえるような形にしなくてはいけないことを覚えておいてください。
住宅の処分や引っ越しでペットと住めなくなる可能性がある
上述してきた通り、多くのケースでのペットの取り扱いは、差押えの対象にはなりにくく、ペットを手放さななければならなくなるケースは稀です。
しかし、住宅を処分することになったり、今の収入に見合った家賃にするために引っ越しをする場合、ペットと一緒に住み続けられるかどうかは、あなたが次に住む物件次第になります。
まだまだ、ペット飼育不可の条件を掲げている賃貸物件は少なくありません。
あなたの住む地域、賃貸条件などで、必ずしもペットと一緒に住み続けられる家を見つけられるとは限らず、飼育に困り、手放さざるを得ないケースも珍しくありません。
まとめ|債務整理とペットの取り扱い
- 任意整理ならばペットに問題は出ない
- ペットは、市場価値が低く差押えの対象にはなりにくい
- ペットに市場価値がある場合は、処分対象になる
- ペットローンを利用している場合は、所有権留保の確認をする
- ペットが原因で借金した場合は、手放さなければならない可能性が高い